アフタヌーンコンサート2021

関東・甲信地方に梅雨明け発表があった翌日、7月17日に長野県茅野市民館コンサートホール(小ホール)で行われたアフタヌーンコンサート2021を聴いてきました。
東京都は緊急事態宣言下ではありますが、以前から決まっていた予定。脇目も振らずに新宿からあずさ17号に飛び乗って、人と接触することもなく茅野駅に降り立ちます。途中、車窓から見る山々は如何にも夏景色。

この演奏会は、私共が第1回目から参加してきた蓼科の別荘「むさし庵」で毎年開催されていた「チェルトの森アフタヌーンコンサート」が変化したもの。去年のコロナ禍に際して会場が三密を避けられる茅野市民会館に変更されて二度目の夏を迎えた開催でもありました。今年は以下のプログラム。

ハイドン/弦楽四重奏曲第38番変ホ長調「冗談」作品33-2
ラヴェル/弦楽四重奏曲ヘ長調
     ~休憩~
メンデルスゾーン/弦楽八重奏曲変ホ長調作品20
 クァルテット・エクセルシオ
 ヴァイオリン/双紙正哉、荒井友美
 ヴィオラ/柳瀬省太
 チェロ/古川展生

むさし庵でのアフタヌーンコンサートは2009年に始まり2019年まで、ファースト西野が病欠のため中止となった2015年を除き、順調に開催されてきました。私は勝手に蓼科音楽祭と呼んでいたほど。
2011年の第3回からは日程も二日間に拡大され、8月第1週の定例行事に。最初の頃は我々も若く、中央高速をぶっ飛ばして長野入りしていましたが、加齢の悲しさ、ジジババが二人で高速ドライブは危険だということになり、私共は2017年の事実上第8回を以て打ち止めにしてきたコンサートでもあります。

従って2018年、2019年は出掛けた友人たちから噂を聞くばかりでしたが、去年は流行病が猛威を振るい、予定していたむさし庵ではソーシャルディスタンスが保てず、万全な感染防止対策にも限界があることから、急遽会場をより広い茅野市民館に移したという経緯がありました。従ってコンサートは一日だけに変更された筈です。
去年参加した知人から、会場は中央線で直ぐ、駅から外に出ることもなくホールに行けるよ、と聞いて気持ちが揺らいだのが切っ掛けでした。今年は当初から茅野市民館で計画され、主催がワイエフ、長野日報社ほかが協賛とプログラムには記されています。

茅野駅の改札を出ると、関係者の一人に遭遇。市民会館はそこを左に曲がったところ、と案内されます。コンサートを知らせる大きな看板が目印。
ホールに入ると、ステージは奥行きは狭いながらも左右の広がりが大きく、なるほど八重奏を演奏するにはもってこいの舞台だと膝を打ちましたね。確か去年はヴィオラ(柳瀬省太)とチェロ(海野幹雄)を加えてチャイコフスキーの弦楽六重奏曲をやってました。

それに手応えを得たのでしょう、今年はクァルテットARCOの3人に藝大フィルハーモニアで活躍している荒井友美を迎えてのメンデルスゾーンがメインのプログラム。
会場は東京都の大きな会場を凌ぐほどの感染防止策が取られ、本来なら300席の会場に100名のみ。15人座れる一列に5人しか収容しないという徹底ぶり。休憩時間はもちろん、前半のハイドンとラヴェルの間でも換気タイムを設け、ゴーゴーと換気扇が唸りを立てていました。休憩時間に少し話をするだけで窘められる有様。呆れると同時に感心もした次第です。

ハイドンの冗談は、むさし庵時代の2013年(第5回)にも取り上げられていましたっけ。その後の換気タイムではセカンド北見が挨拶と短い曲目解説。
続くラヴェルは、記念すべき第1回アフタヌーンコンサート(2009年)の曲目で、エゾゼミの合唱をバックに聴いた懐かしの一品でもありました。

後半は豪華メンバーが集うメンデルスゾーン。演奏に先立ってエクを代表してヴィオラ吉田、ゲストを代表してチェロ古川が軽妙なトークを披露。ほぼ同世代、今や全盛期に差し掛かった名手たちのアンサンブルに期待が高まります。
実際、これだけ腕達者の、そして年代的にも統一されたプレイヤーが気持ちを一つにするメンデルスゾーンは蓋し聴き物。主流になりつつある電子楽譜など使わず、全員が紙ベースの楽譜を捲りながらの熱演には、同一世代による歴史の1ページという感慨すら覚えました。
4人の並びは、いつも終楽章のフーガ風入りで記すのですが、今回は大友→古川→吉田→柳瀬→荒井→北見→双紙→西野 の順でした。

限定100の客席からの暖かい拍手を受け、アンコールは今演奏したメンデルスゾーンの第4楽章から後半、ファースト・ヴァイオリン(西野)が10小節ほどのソロを弾く箇所から最後までがプレゼントされます。いつもなら終了後、聴き終えた仲間たちと感想を語り合うものですが、この日は帰りの電車のこともあり、飛ぶようにホールを後にして駅で帰りのチケットをゲット。序に早目の夕食をかっ食らい(何とこの食堂、午後5時には閉店とか)、あずさ46号に間に合いました。
新宿から埼京線への乗り継ぎもこれ以上は無いほどにスムーズ。朝10時過ぎに家を出て、夜8時には風呂に入っていましたね。多分コロナとは無縁、全くストレスの無い一日でした。

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