ウィーン国立歌劇場アーカイヴ(65)

3月16日にスタートしたウィーン国立歌劇場のアーカイヴ無料配信、昨日6月30日(現地時間)のヴェルディ「ファルスタッフ」を以て完結となります。この配信が視聴できるのは7月4日(土)の午前2時までだそうで、ステイホームの楽しみも一区切りとなりました。
当欄では当初、アーカイヴについては気の向くまま、面白かったものだけを選んでレポートする積りでしたが、結局はバレエと子供向けプログラムを除いては全て紹介してしまいました。なんのことはない、どれも面白かったということでしょうか。

本来であればシーズン最終日の6月30日は「ファルスタッフ」が上演され、しかもズービン・メータ指揮、タイトルロールもマエストリと発表されていました。もちろんライブ・ストリーミングの予定もあり、この演目としては一日限りの公演でマイヤー総裁の7年間を締め括るという記念公演になる筈でした。配信もこれに合わせたものと思われます。

ところで「ファルスタッフ」は3月に2種類の公演がアーカイヴ配信され、今回が3度目。しかも発表されている公演日付をチェックすると、今回のものは3月20日に配信されたものと全く同じキャストです。データを信用すれば、3月のものが2016年12月15日の公演で(アーカイヴ(2)をご覧ください)、今回はその三日前の12月12日となっているではありませんか。同じサイクルで上演されたものであれば印象も同じ、これはパスしようかとも思いましたが、折角最後のアーカイヴ配信ですから敢えて取り上げようと考え直した次第です。繰り返しになりますが、キャストは、

ファルスタッフ/アンブロージオ・マエストリ Ambrosio Maestri
フォード/ルドヴィック・テジエ Ludovic Tezier
フェントン/パオロ・ファナーレ Paolo Fanale
バルドルフォ/ヘルヴィッヒ・ペコラーロ Herwig Pecoraro
ピストラ/リッカルド・ファッシ Riccardo Fassi
カイウス博士/トーマス・エベンシュタイン Thomas Ebenstein
アリス・フォード/カルメン・ジャンナタッシオ Carmen Giannattasio
ナンネッタ/ヒラ・ファヒマ Hila Fahima
クイックリー夫人/マリー=ニコル・ルミュー Marie-Nicole Lemieux
メグ/リリー・イェルスタード Lily Jorstad
指揮/ズービン・メータ Zubin Mehta
演出/デヴィット・マクヴィカー David McVicar
舞台装置/チャールズ・エドワーズ Charles Edwards
衣装/ガブリエレ・ダルトン Gabrielle Dalton
照明/パウル・ケーガン Paul Keogan

マクヴィカーの演出は奇を衒わず、原作のガーター亭の雰囲気を見事に描き出したもの(と言っても小欄はガーター亭を知りませんが)。ウインザーの森の最終場面以外は全て渡り廊下のような中二階が設えてあり、ここが噂話をしたり他人の会話を盗み聞きしたりする舞台となります。
第2幕でファルスタッフが詰め込まれてどぶに投げ入れられた洗濯籠が、幕切れで再びファルスタッフを載せて天井に釣り上げられていくという設定も気が利いていました。

さて全幕が終わり、カーテンコールも最後まで見届けましたが、12月15日の公演と同様にマエストロ・メータからマエストリに花束贈呈があり、それを客席に投げ入れるシーンも全く同じ。
ということは、同じ映像の再配信ではないかと疑ってもみましたがどうなんでしょう。今回の音声はモノラルでしたが、前回はステレオだったかな? ま、真偽のほどは判りませんが、終わり良ければ総て良し、ということにしましょう。

当欄は暫くライヴのコンサートに出掛ける予定もなし、暫くは夏休みということになりそうですね。

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