2年振りのクヌルプ

毎夏の霧が峰、何故か去年は時間が取れずお休みしてしまいました。
リタイヤしたので時間は自由というのは理屈ですが、私の場合は時間が有り余って反って忙しいような有様。定宿クヌルプ・ヒュッテにもいつでも行ける状態ではありますが、結局は夏のこの時期になってしまいます。
それも蓼科のコンサートが入ったため、それに合わせてスケジュールを組んだ、というのが正直な事情。
日曜日(8月2日)のコンサートが終ったのが午後4時過ぎ、終演後のパーティーを5時に辞し、霧が峰に向かいます。
蓼科の別荘地区の複雑な地形を縫うように進んで大門街道を捉え、白樺湖を経由してビーナス・ラインに乗り、クヌルプ着は6時10分前。
途中すれ違う車もほとんどなく、快適と言えば快適なドライヴです。夕刻にこの辺りを通行する人間はほとんどいないということでもあり、地方の過疎化や不況を実感する時間でもありました。
山荘としては遅めの夕食。夜の帳が下りると遠雷が轟き、外は強い雨が降り出した模様。心地良い疲れで、8時には就寝。
翌朝、昨日の雨が嘘のように太陽が射し込んでいます。亭主・松浦氏によると、梅雨明け以降は皮肉にも雨ばかり、久し振りに晴天の由。
朝食の後、庭で四方山話。
庭の一角にスミレが咲いていましたが、「キリガミネスミレ」という種類だとか。菫に詳しい常連氏が置いていったのだそうです。
果たして「霧が峰菫」という種名が正式な和名なのか否かは判りませんが、今の季節に花を付けているのも不思議ですね。
聞けば、今春一旦開花し、高地のクヌルプに移植したことで寒さを冬と勘違いして狂い咲きしたのではないか、とのこと。
いずれにしてもここはヒョウモンチョウ類が大量に発生する場所ですから、注意しないと蝶の餌食になってしまいますよ。
あまりに天気が良いので予定を変え、何年振りかで山歩きに出掛けました。
クヌルプ裏の山道をズッと昇ると蝶々深山に出ます。途中、ミズナラの樹液に集まるヒカゲチョウ類やルリタテハに挨拶を交わし、シシウドで無心に吸蜜するアサギマダラにも遭遇。
まだ辛うじて残っているゼンテイカ(ニッコウキスゲ)の原にヒオドシチョウも翅を休めています。
しかし何故かクジャクチョウやキアゲハには出遭いません。全体に数が少なくなっているような感じ。
ここはかつてオオウラギンヒョウモンの名所でしたが、ビーナスラインのお蔭で見事に絶滅しましたからね。
そう言えば近年はヒメシロチョウ、ヒョウモンモドキ、ミヤマシジミなどにも殆どお目にかかっていません。
蝶々深山からは車山は避け、車山湿原を眼下に見ながら車山肩に向かいます。
この所の雨で山道はぬかるみが酷く、時々立ち往生するほど。軽装のハイキングにはやや厳しい場所も散在します。
湿原に遊ぶ小鳥の写真が撮れたので、ヒュッテに戻ってから確認すると「ホオアカ」という種類。ホオ(頬)の赤さと胸の黒斑が見事なコントラストを作っています。これは♂の夏羽の特徴。一つ覚えましたね。
確かメシアンにも出てきたんじゃなかったか知ら。
車山肩にあるコロボックルで休憩、肩から沢渡(さわたり)に降りようと思った時、前日のコンサートで一緒になったグループと再開。暫く音楽の話に花が咲きました。
帰路、若い二人の湿原ガイドが会話中。どうやら先輩が後輩を指導している様子。
先輩がある植物を指差しながら資料を捲っています。
“えぇ、この花は・・・・・・”
“それはハバヤマボクチ” (これは見かねた私の発言)
“あっ、そうです、ハバヤマボクチ。すいません、研修中なもんで。まだ研修1年目なんですよ”
ま、頑張って下さいね。私のような意地悪親父が多いですから。
今回は時期がずれているのか、沢のゼフィルスには遇えませんでしたし、いつもなら乱舞しているコムラサキも1頭を見ただけ。
天候には恵まれましたが、何となく寂しさも感じられたクヌルプ・ヒュッテでした。
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