アルブレヒト・読響の第9

さてもアルブレヒト指揮・読響の第9ですが、恐らくマエストロの第9を聴けるのはこれが最後でしょう。幸いこの日は当日券もあるということで、予定外ながら聴いてきました。

今日は富士通の協賛で、日本テレビの収録もありました。ソリストは一部例年と替わり、ソプラノ/林正子、メゾ・ソプラノ/坂本朱、テノール/中鉢聡、バリトン/三原剛。合唱は例年どおり武蔵野音楽大学(合唱指揮/松井徹)の若者達です。コンサートマスターはデヴィッド・ノーラン。

7時開演でしたが実際には10分ほど遅れ、8時30分には全員が引き揚げていましたから、正味1時間10分ほどでしたでしょうか。第2楽章と第3楽章の間に合唱団とソリストが入場しましたから、ここでもかなり時間を取っていました。遅れてきた人も、最後だけ聴きにきた人もここでゆっくり入場できます。
曲目はベートーヴェンの第9交響曲だけ、抱き合わせは無しです。

演奏は、常任指揮者としてのアルブレヒト芸術の集大成とも言えるもので、極めて快速、剛直球の第9でした。
主役はあくまでもマエストロとオーケストラ。「アルブレヒト・サウンド」が完成した姿です。
演奏を登山に譬えれば、アルブレヒトは周囲の豊かな自然や景観には目もくれず、只管に山頂を目指す。各所に様々なドラマを感じながら進むようなタイプではなく、最初の一音から最後の和音まで一切の妥協をせず、私情を差し挟まないという気迫がありました。
ベーレンライター新版などという小賢しいエディションには目もくれず、昔からの伝統的ドイツ音楽の規範たろうとするベートーヴェン演奏ですね。

前年のスクロヴァチェフスキ、先日聴き27日にも聴く予定の広上とは全く異なるアプローチです。しかし第9は極めて許容力の大きな音楽。様々なアプローチが可能であり、夫々の感動があるのです。
この第9はこのあと23日から26日まで4日間、ぶっ続けで演奏されます。放送は29日? 30日だったかな。いずれにしても深夜だそうです。

 

 

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