小川典子のプロコフィエフ
土曜日の昼下がり、池袋の芸術劇場で東京ユニバーサル・フィルの演奏会を聴いてきました。このオーケストラを聴くのは初めてです。音楽監督兼常任指揮者である三石精一のオーケストラと言ってよいのでしょう。第23回定期。
リムスキー=コルサコフ没後100年記念ということで、コルサコフのアンタールとシェエラザード、間に挟まれるようにプロコフィエフのピアノ協奏曲第3番が置かれています。ピアノは小川典子。これに出掛けたのは、当然、小川のプロコフィエフが聴きたかったから。
小川のプロコフィエフ、ソナタは聴いたことがありますが、彼女が最も得意としている第3協奏曲はこれまで聴いたことがありません。この機会逃すべからず。
噂に違わず、というか、真に圧倒的なプロコフィエフでした。完全脱帽ですワ。
凡そピアノ演奏に対する賞賛の言葉全てを並べ立てても足りないくらい。だから、これ以上何も言いません。そこでこの協奏曲に関する雑感。
第3協奏曲のナマ演奏で、これまで最も感心した経験はマウリツィオ・ポリーニの演奏でした。1974年4月、N響定期でのこと。指揮者が誰で、他の曲目が何だったのか記憶にありませんが、とにかくポリーニが見事で、後半は聴かずに帰っちゃおうか、と思ったことを思い出します。
(記録をひっくり返してみたら、指揮者はマキシム・ショスタコーヴィチ、他の曲はショスタコーヴィチの第7交響曲だったようです。思い出したぞ、下劣な演奏だったなぁ、)
そのポリーニ体験をもってしても、今回の小川典子の方が遥かに上。それだけ言えば十分でしょ。
ところで小川典子が日本のオーケストラの定期演奏会でプロコフィエフの第3を弾いたのは、読売日響の第264回定期が最初のこと。1989年7月4日、指揮はヤン・パスカル・トルトリエでした。そのあと1991年には関西フィルでも弾いています。これは小林研一郎の指揮。
20年前の読響、聴いたことある方いらっしゃいますかね。
他の2曲、一週間の疲れがたまっていたようで、アンタールは睡魔に勝てませんでした。
後半も、協奏曲のスリルに圧倒されてグッタリ、こちらも睡魔に勝てませんでした。
チャンと聴いていた家内によると、シェエラザードのコンサートマスター、後藤龍伸氏のソロが実に素晴らしかったそうです。
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