ベルリンの次はドレスデンの第一夜

二日間に亘ってモーツァルト/ブルックナー・プログラムを演奏して去ったベルリン・シュターツカペレに続いて、今週のプロムスはドレスデンのシュターツカペレが後を引き受けます。
彼らも二日間の連続公演で、2012年から首席指揮者を務めているティーレマンにとってはプロムス・デビューに当たるそうです。

9月7日 ≪Prom 71≫
モーツァルト/ピアノ協奏曲第21番ハ長調K467
     ~休憩~
ブルックナー/交響曲第3番
 ドレスデン国立歌劇場管弦楽団 Staatskapelle Dresden
 指揮/クリスチャン・ティーレマン Christian Thielemann
 ピアノ/ダニール・トリフォノフ Daniil Trifonov

何せウェーバーやワーグナーも首席指揮者を務めた、470年の活動歴があるオーケストラ。ロンドンの聴衆も熱狂的に迎えていましたね。第一夜のプログラムはベルリンと全く同じでモーツァルトとブルックナーの二本立て。偶然なのかライヴァル意識剝き出しなのかは知りませんが、比較する方は真に楽しい聴き比べになりました。
そのモーツァルトを弾いたのは、1991年ロシア生まれの若手。ルービンシュタイン国際コンクール優勝の経歴を持ち、一昨年の来日公演を聴かれた方も多いでしょう。如何にも女性ファンが多そうなルックス。

http://www.daniiltrifonov.com/

今回弾いたカデンツァは自身だそうで、特に第3楽章のソロはいきなりカデンツァ始める奇抜なアイディア。更に第3楽章の最後のカデンツァでも第1楽章のト短調交響曲素材を入れる独自のカデンツァで、真に溌剌としたモーツァルトを聴かせてくれました。
アンコールもあり、プロコフィエフ自身のアレンジによるシンデレラからの3小品作品95から第2曲のガヴォット。

この回の案内役は解説が煩いトム・サーヴィスで、私は苦手なのでアナウンスを聞かずにサッサとブルックナーに飛ばして聴き始めます。
BBCのプログラムにもプロムスの公式サイトにも版についての案内が無かったのですが、私は普通にノヴァークの第3稿と決めつけていました。ところが第1楽章が始まって直ぐ、練習記号Bのところで長いパウゼが入ります。ティーレマンは変わったことをするな、と思っていましたが、Dに入って直ぐのホルンの動きが全く違うので、これは第3稿じゃないということに気付きました。

そこで放送を止め、書棚をひっくり返します。実は第3は手元に4種類のスコアを所持しているのですが、ティーレマンが選んだのが1877年の第2稿であることを突き止めました。これを出してきて最初から聴き始め、完走。
通常は1889年第3稿ノヴァーク版が用いられる第3交響曲。恥ずかしながら私は1877年稿を最初から最後まで聴きとおしたのは初めてでした。最近オイレンブルク社がブルックナーの異稿の出版に熱心で、私は何かの時にと思って4種類のスコアを用意していたのでしたが、意外な形で役に立ったものです。

 

 

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