戌年生まれの大作曲家

この正月3日のお遊び、2008年の子年生まれの大作曲家から始めましたから、今年を含めて残す所2回となりました。最後から2番目の干支は戌年です。

例によって高島暦などで戌年生まれの特徴を探して見ると、真面目で誠実、忍耐力があり、意志が強い努力家などという長所が指摘されている一方で、頑固で融通が利かない、些細なことで批判するという欠点もある由。それでも社会的な評価が高い人が多いということになっています。実は私も戌年なのですが、どうもこの年回りの人は余り目立たないようで、大作曲家と呼べる人は全体に少ないような気がしますし、そもそも戌年生まれの作曲家は余りいないようです。創造性に欠ける年回りなんでしょうか。

それでももちろん該当する人は結構いて、出れば大物、という感じがしないでもありません。古い順に見て行くと、
先ずは1562年生れのスウェーリンクに遭遇します。スウェーリンクはアムステルダム出身のオランダの作曲家で、歴史上名高いフランドル楽派(別名ネーデルランド楽派)の伝統を締め括った巨人でした。フランドル楽派の最後の担い手であるだけではなく、バロック初期の特に北ドイツの音楽家に与えた影響は大きく、時代の境目に位置する巨人と呼んでも過言じゃないでしょう。

次に登場する大物は、ずっと飛んで1658年生れのトレルリを挙げましょう。私もコレルリの先輩程度の認識しかありませんでしたが、楽書を繙いてみると、必ず紹介されているのが独奏協奏曲の最初の作曲家と言うこと。というよりも、トレルリの業績は、その後の独奏協奏曲のスタイルである急緩急という3楽章形式を確立したことにあるようです。その完成された姿が作品8の傑作協奏曲集ですが、彼の場合は時代を先取りした大作曲と呼べるでしょう。

スウェーリンクとコレルリの間には何と100年ほどの開きがありますが、次に目が留まる戌年生まれの作曲家は、1778年生れのフンメルでしょう。現在は余り作品も取り上げられませんが、そのピアノ作品はモーツァルトとショパンとの間の懸け橋に当たる作曲家。ベートーヴェンとほぼ同世代で、即興の名手。幼いころから世界中を駆け回って修行し、ベートーヴェンと名声を競ったほどですから天才の一人として間違いありません。現在ではモーツァルトやベートーヴェンの影に隠れてしまいましたが、その辺りが戌年生まれの悲しさでしょうか。

1838年生れのビゼーとブルッフ辺りからは現在でも良く知られている作曲家が登場し、1862年生れのドビュッシーとデリアスでこの年回りの大作曲家としては頂点に達するように思います。どんな人物だったかは各自調べてもらうことにして、頑固で融通が利かない、些細なことで批判するという性格が無かったら、ドビュッシーが近代音楽の扉を開くことはなかったのかも。特にドビュッシーは2018年が没後100年にも当たっており、小生など今年はドビュッシー漬けの日々になるような気がしています。

大分酩酊してきましたから、後は名前を列記するだけに止めましょう。
1874年にはホルスト、シェーンベルク、スーク、アイヴスが生まれ、1898年にガーシュインが登場します。後は現代音楽の世代で、1910年のバーバー、1922年にはクセナキス、最後に1934年生れのシュニトケを挙げておきましょうか。

 

 

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