東京籠城日記(1)

いよいよ東京などに緊急事態宣言が出されました。小欄も宣言がある前から外出の自粛を余儀なくされていて、演奏会は2月22日を最後に出掛けていませんし、3月は電車を利用したのは一度だけでしたね。
音楽は専ら世界各地の歌劇場が提供してくれる無料配信や手持ちの録音、ネット配信の音楽などを利用してきましたが、何とも焦点が定まりません。少なくとも自粛要請は5月の連休明けまでは続くようですから、当方としてもモチベーションを維持するために、日々の話題を探しながら好奇心を持ち続けたいと思います。

そこで表題のような疑似日記を思いつきました。その日の話題を見つけ出し、退屈な時間を乗り切ろうというわけ。
手始めに宣言初日の4月7日のトピックを探してみました。

この日は名曲初演の特異日のようで、4月7日に初演された名曲が結構あります。中でもへぇ~、と思ったのは1724年のこの日にバッハのヨハネ受難曲が初演されていますが、それから丁度100年後の1824年には同じ宗教音楽の名作であるベートーヴェンのミサ・ソレムニスも初演されているんですね。
尤もミサ・ソレムニスの初演はサンクト・ペテルブルクでしたから、ユリウス暦とグレゴリオ暦の関係が今一良く分かりません。それでもこの2曲にほぼ100年の時間差があったことに改めて気が付きます。

言うまでもなく今年はベートーヴェンの生誕250年。ということでベートーヴェン作品の初演歴を見ると、エロイカ交響曲の初演も1805年の4月7日となっています。これはあくまでも公開初演であって、私的には前年の12月にロブコヴィッツ邸で行われたそうな。
公開初演は現在でも現役のアン・デア・ウィーン劇場でしたが、ベートーヴェンは1803年から4年にかけてこの劇場に住んでいたんでしたっけ。もちろん劇場と住居が一つ屋根の下にある建物ということですけど。現在の劇場はもちろん改築されていて当時のものとは違いますが、劇場のプレートには、ここでベートーヴェンのエロイカやクロイツェル・ソナタ、フィデリオなどが初演されたと書かれているそうです。

このアン・デア・ウィーン劇場ではシュトラウスの「こうもり」やレハールの「メリー・ウイドウ」の初演されていますね。チョッと夢が膨らむじゃありませんか。

ということで、今日はエロイカを聴いてから寝ることにしましょうか。録音はより取り見取りですが、思い切って古いものを選びましょう。ベートーヴェンの没後100年に当たる1927年にポリドール(ドイツ・グラモフォンの前身)が企画した電気吹込みによるベートーヴェン交響曲全集の一環で、ハンス・プフィッツナーが指揮したベルリン・フィルの録音で。
この企画は実現に時間が掛かってしまい、このエロイカも一般に発売されたのは1929年になってからでした。手元にはナクソス・ヒストリカルの復刻盤で、デヴィッド・レニックという技術者兼レコード・コレクターが板起こししたCDがあります。これをパソコンに取り込み、DACを通して再生するんですが、録音年代を考えれば結構良い音がするんですよね。

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