タツナミソウ

この植物も同定に苦労しました。「タツナミソウ」という正式和名が判明してまえば、ネット検索などで簡単に見つけられます。
しかし現物を見てから図鑑などで探すのは容易じゃありません。取り合えずいわゆる絵合わせに頼るわけですが、図鑑に掲載されている写真の映された花の時期が微妙に異なる場合があるのです。
私がこの花に気付いたのは数週間前、まだ花が咲き出したばかりの頃でした。これと、例えば山渓ハンディ図鑑の写真とではかなり感じが違います。
“う~ん、似てるけど違うなぁ~”ということに・・・。
で、例の如く長田検索図鑑の登場となるわけです。
タツナミソウとは、漢字で「立浪草」と書きます。字の如く、花が片側を向いて咲く様子を、泡立って寄せてくる波に見立てたもの、との解説。
なるほどピッタリの命名、手招きしている猫の手みたい。
この様子は花の初期に良く出ていて、図鑑にあるようにかなり花期が進行してしまった状態では、“どこが立浪だよ”という具合に見えてしまうのです。
散歩から得られた想像では、タツナミソウは自然状態では丘陵の林縁や草地に生える、ということになっていますが、都会では観賞用に栽培されているケースが多いようです。
実際、これを鉢植えにして楽しんでいる家庭もかなり存在しますからね。
私が初めて目撃したものは、そうした鉢植えモノが逃げ出して路傍にヒッソリ咲いていたもののようです。
花の色は青紫。葉に特徴があって、慣れてくると「シソ科」だな、ということが判ります。
花の形は筒型、「唇」と呼ばれるものが上下にあって、下唇は3つに分かれ、紫色の斑点があるのが美しい。
本来の花期は5~6月だそうですが、拙宅の周りでは既に咲き出しています。
学名は Scutellaria indica スクテルラリア・インディカ。種名のインディカは「インドの」という意味ですが、属名スクテルラリアとはラテン語の Scutella (小皿)のこと。花が進んでがくの上唇が散り落ち、下唇だけが残った時の形が、正に「小皿」を髣髴させるとのこと。
和名は咲き始め、学名は咲き終わりの形から付けられた、というのは洋の東西での観察の違い。実に面白いと思います。
ところが一昨日のこと、偶然に山王の某所で白い花のタツナミソウを発見。一株や二株といった生易しいものではなく、正に群生する白花立浪草。これには仰天してしまいましたわ。
なるほど図鑑には、稀に白色のものもあるという記述も。その美しさ、絶品ですな。
場所は教えませんよ。盗掘されるといけない。と言っても先が行き止まりの袋小路の路傍。何でこんなところに自生状態なんだろうか。
(花の写真をご覧になりたい方は「タツナミソウ」でネット検索して下さい。いくらでも出てきますから)

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