アレ・フランス賞

フランスはほとんどのパターン・レースが週末に集中しています。ですから平日のGレースはうっかりしていると見逃してしまうのですが、昨日シャンティー競馬場で行われたアレ・フランス賞もそうしたレースの一つでしょう。
アレ・フランス Allez France はもちろん1974年の凱旋門賞を制した名牝。パリジャン・パリジェンヌのアイドルでした。
その彼女を記念して2004年に創設されたアレ・フランス賞(GⅢ、4歳上牝、2000メートル)、今年が6回目という歴史の浅いパターン・レースです。
このレースが創設された当時、あまりにも多くの牝馬が3歳で引退して繁殖に上がってしまう傾向にありました。何とか現役に留まってレースそのものを盛り立てて欲しいという期待を籠めて、2004年にヨーロッパの競馬主要国で古馬牝馬のための大きなレースが組まれるようになったのです。
アレ・フランス賞もその一つ。
今年は10頭立て。古馬になって活躍が期待されそうな好メンバーが揃いました。
1番人気は未だキャリアが浅く(これまで5戦2勝)、前走のロンシャンで勝ったダンス・グレック Danse Grecque の23対10。次いでは38対10のディヤカラニー Diyakalanie の順。ディヤカラニーは一昨年のフランス・オークス2着の実績があります。
ところが人気の2頭は共に凡走。夫々5着、8着に敗退してしまいました。
勝ったのは57対10、4番人気のシェミマ Shemima 、2着は短首差でトレ・ラピッド Tres Rapide 、更に1馬身半でアルビソラ Albisola が3着という結果です。
シェミマはロワイヤー=デュプレ厩舎、スミオン騎乗、オーナーはアガ・カーン。去年ザルカヴァで世界中の話題を一身に集めたアガ・カーンにとって、これが今シーズン最初のGレース勝利となります。
シェミマは去年リュテース賞(Ⅲ)で既にパターン・レースに勝っており、このレースが今期初戦。終わってみれば実力通り。人気の盲点でした。
中団に待機、5番手で直線に向いてからの追い込みでしたが、馬場が重に渋っていたこともこの馬のスタミナに適していたのでしょう。
父ダラカニ、母シェマカという良血のシェミマ、最初の新馬戦こそ着外だったものの、これで7戦3勝。6戦全て1着か2着という堅実なタイプですから、今シーズンも大きな期待が持てそうです。
2着のトレ・ラピッドは昨秋に京都でエリザベス女王杯に出走(10着)して以来の競馬。日本にも馴染みの馬です。
この馬もドイツ・オークスで4着という実績あり。
惜しかったのは3着に突っ込んできたアルビソラ。どうやら発情(ふけ)状態だったようで、突然ゲートが開いたために馬が驚いてしまい、スタートで10馬身もの出遅れ。それで3着まで追い込んだのですから、スタートの失敗が無ければ・・・、と思わせる内容でした。
この馬も既にパターン・レース(フロール賞、GⅢ)に勝っており、マトモなら充分に勝負になる馬です。

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