本命馬の運命、週末の愛仏

今日は先ず残念な結果からレポートしなければなりません。アスコット・ゴールド・カップ4連覇という偉業が掛かっているイェーツ Yeats が思わぬ惨敗。快挙に赤信号が灯った感じです。
日曜日のアイルランド、ナヴァン競馬場で行われたリステッド戦、ヴィンテージ・クロップ・ステークス(4歳上、1マイル5ハロン)でのことです。
イェーツは去年も一昨年もこのレースからシーズンをスタートし、いずれも楽勝でアスコットに向かったのでした。
今年もビデオテープの再現になることを期待して4対5の圧倒的人気でしたが、何と8頭立て6着。後から3頭目での入線で、勝馬からは32馬身も離されてしまいました。
レースはイギリスから遠征したヒンドゥー・クシュ Hindu Kush の逃げで始まり、イェーツはやや掛かり気味に2番手を進む展開。
しかし勝負所ではいつもの反応は全く得られず、ズルズル後退しての敗北でした。騎手は主戦のムルタがフランス遠征中のためへファーナン。
勝ったのはこれが未だ2戦目(1戦1勝)というアランディ Alandi 、2着は3馬身半差で逃げたヒンドゥー・クシュ、3着には短頭差でザ・べッチワース・キッド The Betchworth Kid 。
イェーツはレース後の息遣いが荒く、かなり疲労した様子だった由。ただこの馬は時々大凡走の前科もありますから(メルボルン・カップなど)、今後の建て直しも不可能ではないでしょう。それに期待したいと思います。
勝ったアランディ、オックス師の話では、冬の間に障害馬として売って欲しいという要望がいくつもあったそうですが全て断ったとか。血統が良いので平場で活躍できる器、という判断ですね。
父はガリレオ、母はアリーヤ Aliya 、母の父ダルシャーンという4歳馬。 2代母アランヤ Alannya は英オークス馬アリーサ Aliysa を出していて、確かに良血の見本。遥かに遡れば名牝マムタツ・マハル Mumtaz Mahal に到るアガ・カーン家の基礎牝系です。
まだゴールド・カップ云々の段階ではありませんが、今後の動向は要チェックでしょう。
さて話はフランスに飛びます。
日曜日のロンシャンはパターン・レースが3鞍。先ずはヨーロッパのシーズン最初のGⅠ戦の報告です。
ガネー賞(GⅠ、4歳上、2000メートル)は9頭の登録から1頭取り消して8頭立て。昨日の日記でも書いたとおり、3カ国のダービー馬対決という見所もありました。
勝ったのはそのダービー馬の一角、仏ダービーの覇者ヴィジョン・デタ Vision d’Etat 。13対8の1番人気、実力から見て順当な結果でしょう。前走のダルクール賞では2着に終わりましたが、ここはキッチリと差し切り、凱旋門賞へ向けての長いシーズンのスタートを切った感じがしますね。
2着は4分の3馬身で宿敵ルー・ブレトン Loup Breton 、3着には短頭差で独ダービー馬アドラーフルーク Adlerflug が続きます。
オブライエン厩舎に移籍初戦のザウェイユーアー Thewayyouare は4着。これが11ヶ月振りの実戦ですから、オブライエン師も結果には満足。ムルタ騎手もGⅠクラスの馬であることに太鼓判を押していました。
同じく転厩初戦となるクマニ師の伊ダービー馬シーマ・ド・トリオンフ Cima De Triomphe は後方から追い込むも6着止まり。スローペースに終止した展開がこの馬には不利でした。
その他、ヴァントー賞(GⅢ、3歳牝、1800メートル)はクリティック=ヘッド姉さんが調教するデノミネーション Denomination の逃げ切り勝ち。9対4の1番人気に応えました。
2着は3番手から追い込んだセレブラ Celebra が首差及ばず。3着には4分の3馬身でタッサーラ Tassara という結果。
ヘッドさん、仏1000ギニーに行く手もあるけど、あと2週間ではねぇ。ま、仏オークスが照準となりそうですね。
バルベヴィユ賞(GⅢ、4歳上、3000メートル)は1番人気(24対10)のカスバー・ブリス Kasbah Bliss が8頭立てシンガリと思わぬ惨敗。アイルランドのイェーツの運命と似ていなくもありません。
勝ったポワンティリスト Pointilliste はルルーシュ厩舎の新鋭。まだレース経験の浅い馬で、2ハロンで先頭に立っての流れ込み。
今後はやはりアスコット・ゴールド・カップを狙ってくる馬なのでしょう。
2着は1馬身差でラ・ブーム La Boum 、3着も同じく1馬身でファラミール Faramir という結果。
先週のヨーロッパ、アイルランドでは危うく障害に転向するところだった馬が勝ち、フランスでも障害血統と言われる馬(ヴィジョン・デタ)が優勝。
一方で障害でも好走している馬は惨敗(カスバー・ブリス)と、何やら障害繋がりの馬が話題になった週末でした。

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