メット・ライブビューイング2009-2010スタート

今日から表記、メトロポリタン歌劇場のライブビューイング2009-1020がスタートしました。ピーター・ゲルプ総裁の企画でスタートしたオペラを劇場からハイビジョンで世界各国に放送する企画、今年で4年目を迎えます。

今シーズン予定されているのは全部で9演目。うち4本は新演出で、1本はメット初演という意欲的内容です。
私は自宅から最もアクセスの良い川崎の109シネマズ川崎で観てきました。

開幕はプッチーニの歌劇「トスカ」。上記新演出の舞台で、10月10日に上演されたばかり。キャスト等は以下。プログラムには主要なキャストしか記載がありませんので、いわゆる脇役の名前は判りません。もちろん終演時にテロップが出るのですが、英語ですしスクロールが速すぎて読めません。ということで、

トスカ/カリタ・マッティラ
カヴァラドッシ/マルセロ・アルバレス
スカルピア/ジョージ・ギャグニッザ
堂守/ポール・プリシュカ
指揮/ジョセフ・コラネリ
演出/リュック・ポンディ

上映は昨シーズンと同じスタイルですが、この企画も大分世間に認知されてきたとみえ、かなりの人が入っていました。年輩の方が多いようですが、オペラの中のオペラ、「トスカ」なら誰でも楽しめる演目ですし、話題性にも富んだ公演ですからね。
休憩が2回、全体で3時間15分ほどかかります。

今回の案内役はスーザン・グレアム姉御。彼女自身は「ばらの騎士」でオクタヴィアンを歌うことになっています。
“自分はメッツォなんで、プッチーニには縁が無くて悔しいぃぃ~” なんて言ってましたが、その気持ちは良く判りますね。

「トスカ」を見るのはライヴにせよ録画にせよ久しぶりですが、直ぐに惹き込まれました。音楽はもちろん、ストーリーが良く出来ているし、何より歌手の演技が素晴らしい。歌はもちろんのこと。

マッティラは今回初めてトスカを歌うそうですが、役への没入は凄いもんです。例の「歌に生き、愛に生き」など、淡々とした歌唱とはほど遠いもの。アリアというよりはコンフェッション(告白)と言いたいほどにリアリティーに富む歌唱・演技です。

カヴァラドッシのアルバレスも、スカルピアのギャグニッザも、嵌まり役としか言いようなし。何の違和感もなく、カヴァラドッシの運命に気を揉み、スカルピアを憎むことができます。

ボンディの新演出は、あくまで音楽と歌手を優先させたもので、出演者はみな歌い易い演出と好評のようです。初めてこの名作に触れる人でも、すんなり受け入れられるリアリスティックな舞台。
25年ぶり(確かそう言ってました)の新演出、ということはそれまではゼッフィレルリのものが使われていたんですね。

インタヴューの中でポンディ氏、“その前は誰? え、それ見たことないなぁ~” なんて惚けてましたがね、ホントかしら。

今回の舞台裏インタヴューは、主役3人の他に合唱指揮者や演出家も登場しますが、衣裳のミレーナ・カノネロがクールで素晴らしいですよ。もちろん衣裳そのものも必見。

演出でハッと思ったのは最後。トスカがサンタンジェロ城から身を投ずる場面ですが、あれ、どういう仕掛けだったんでしょう。
ほんの一瞬のことで目が眩みましたが、本当にジャンプしたようにも見えました。多分人形でしょうが、効果満点ですよ。これから見られる方、最後は目を皿のようにして画面を見ること。

ということで各上映館とも11月13日の金曜日まで放映中。料金は3500円ですが、3回セット券なら9000円。1回あたり500円の得になっています。

 

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