メット・のライヴ・ビューィング2010-2011スタート

今日から日本全国の映画館でメトロポリタン歌劇場のライヴ・ビューィングが始まりました。で、早速一番近い川崎の109シネマズ川崎で見てきました。

第一弾の出し物はワーグナーの楽劇「ラインの黄金」の新演出。ということは、今シーズンのメットの最大の呼び物は、新しい演出によるリング。ただしバイロイトみたいに一気に4作を上演するのではなく、2シーズンかけて取り上げるのが特徴で、2010-2011には「ラインの黄金」と「ワルキューレ」が掛かります。

現地では10月9日に上演された舞台。主なキャスト等は、

ヴォータン/ブリン・ターフェル
フリッカ/ステファニー・プライズ
ローゲ/リチャード・クロフト
アルベリヒ/エリック・オーウェンズ
 指揮/ジェームズ・レヴァイン
 演出/ロベール・ルパージュ

他にも重要な役がいくつもありますが、公式プログラムにはこれしか掲載されていません。知りたい方はメットのホームページなり他のブログなりを当たってみてください。

観た第一印象は、やはり演出が面白いですね。さすがに4年がかりで構想を練っただけのことはあります。
ルパージュは以前に「ファウストの劫罰」も見ましたが、CGを使ったり歌手を宙吊りにしたりと、奇抜なアイディアを持った人。ファウストでは多少の違和感を感じましたが、リングは、少なくとも「ラインの黄金」は成功していると思いました。

そのコンセプトが“ワーグナーの台本に最も忠実な、史上初の演出”を目指している所が良いのでしょう。昨今のバイロイトみたいに時代を読み替えた衣装などを使わないのが好ましい。
神々にしても巨人族にしても、それらしい衣装デザイン(ボリス・フィルケ)で安心します。

舞台は巨大な板(24枚使われている由)が敷かれているだけのシンプルなものですが、これを水圧システムで自在に動かすという大がかりな装置。「マシーン」の重量もコストも相当なものでしょう。
この板の上を宙吊りになったラインの乙女たちが泳ぎ回る。

秀逸だと思ったのは、ラインの川底を見せた点と、ニーべルハイムへの往復のシーン。良くこれを考え出したと感心します。なるほど「台本に忠実」で、現代のテクニックを駆使しなければ実現不可能なワーグナー台本。
最後のワルハラ城への虹の架け橋も、なるほどねぇ~。これをローゲ以外の神々が渡って行く所は感動モノでした。

大蛇も蛙も出てきますが、これは古典的というか、よくある手。客席にも笑いが起きてました。

歌手もそれぞれに見事でしたが、やはりターフェルのヴォータンは存在感充分。それにアルベリヒのオーウェンズ、生まれながらのアルベリヒで嵌り役と言って良いでしょう。

ローゲには大きな“ブー”が掛かっていましたが、そんなに悪かったかなぁ。多少息切れ気味だったのと、ローゲにしてはマトモ過ぎたのか。

何より魂げたのはレヴァインのテンポです。遅いのなんの、私はこんなスローな「ラインの黄金」は聴いたことがありません。カーテンコールに登場したレヴァインの様子を見てある程度納得しましたが、歳をとると時間の進み方が遅くなるのでしょうか。
このテンポで歌うのは歌手にとっては大変な負担だろうし、実際歌えるだけの体力がある歌手ばかりを集めたのだろうと想像します。

とにかく、この音楽には疲れました。

ということで、これから見る方、事前にしっかりトイレを済ませておくこと。開演前の練習シーンやデヴォラ・ヴォイトのターフェルへのインタヴューを含めて3時間以上休憩がありません。私が見た日も、我慢できずに途中でトイレに立つ人が10人以上いましたからね。映画だからいいけど、実際のオペラハウスだったらアウトですぜ。

ピーター・ゲルプ総裁によると、現在当プロダクションのメイキング映像を製作中とか。完成したら是非見たい映像に仕上がるでしょうね。

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