ディミトリ・ミトロプーロス指揮ニューヨーク・フィル(21)

今回からニューヨーク・フィルの第113回シーズンのプログラムです。ミトロプーロスが音楽監督に就任4シーズン目に当ります。

1954年10月7・8・10日 カーネギーホール
 ウェーバー/歌劇「魔弾の射手」序曲
 バッハ=ミトロプーロス/幻想曲とフーガ ト短調
 ワーグナー/楽劇「ワルキューレ」第1幕全曲(演奏会形式)
  指揮/ディミトリ・ミトロプーロス
  ソプラノ/アストリット・ヴァルナイ
  テノール/ラモン/ヴィナイ
  バス/ルーベン・ヴィシェイ

1954年10月12日 コネチカット州ハートフォード
 ウェーバー/歌劇「魔弾の射手」序曲
 メンデルスゾーン/交響曲第5番
 プロコフィエフ/交響曲第5番
  指揮/ディミトリ・ミトロプーロス

1954年10月14・15日 カーネギーホール
 カバレフスキー/序曲「コラ・ブル二ョン」
 ショスタコーヴィチ/交響曲第10番(アメリカ初演)
 チャイコフスキー/ヴァイオリン協奏曲
  指揮/ディミトリ・ミトロプーロス
  ヴァイオリン/ミッシャ・エルマン

1954年10月17日 カーネギーホール
 カバレフスキー/序曲「コラ・ブル二ョン」
 チャイコフスキー/組曲第1番
 チャイコフスキー/ヴァイオリン協奏曲
  指揮/ディミトリ・ミトロプーロス
  ヴァイオリン/ミッシャ・エルマン

1954年10月21・22日 カーネギーホール
 ベートーヴェン/序曲「レオノーレ」第2番
 モーツァルト/ピアノ協奏曲二長調K537
 ベートーヴェン/ピアノ協奏曲第5番
  指揮/ディミトリ・ミトロプーロス
  ピアノ/ロベール・カサドシュ

1954年10月23日 カーネギーホール
 モーツァルト/歌劇「魔笛」序曲
 シューベルト=リスト/「さすらい人」幻想曲
 ミヨー/ピアノと管弦楽のための幻想曲「エクスの謝肉祭」
 ベートーヴェン/交響曲第3番
  指揮/ディミトリ・ミトロプーロス
  ピアノ/グラント・ヨハンセン

1954年10月24日 カーネギーホール
 モーツァルト/歌劇「魔笛」序曲
 シューベルト=リスト/「さすらい人」幻想曲
 ベートーヴェン/交響曲第3番
  指揮/ディミトリ・ミトロプーロス
  ピアノ/グラント・ヨハンセン

1954年10月28・29日 カーネギーホール
 シューマン/序曲「ジュリアス・シーザー」
 クープラン=バズレール/チェロと管弦楽のための Pieces en Concert
 リエティ/チェロ協奏曲第2番(世界初演)
 ヴォーン=ウイリアムス/交響曲第4番
 R.シュトラウス/楽劇「サロメ」~7枚のヴェールの踊り
  指揮/ディミトリ・ミトロプーロス
  チェロ/ラーヤ・ガルブーソヴァ

1954年10月30日 カーネギーホール
 クープラン=ミヨー/「La Sultane」前奏曲とアレグロ
 メンデルスゾーン/ピアノ協奏曲第1番
 ショスタコーヴィチ/交響曲第10番
  指揮/ディミトリ・ミトロプーロス
  ピアノ/アニア・ドルフマン

1954年10月31日 カーネギーホール
 クープラン=ミヨー/「La Sultane」前奏曲とアレグロ
 クープラン=バズレール/チェロと管弦楽のための Pieces en Concert
 リエティ/チェロ協奏曲第2番
 ヴォーン=ウイリアムス/交響曲第4番
 R.シュトラウス/楽劇「サロメ」~7枚のヴェールの踊り
  指揮/ディミトリ・ミトロプーロス
  チェロ/ラーヤ・ガルブーソヴァ

1954年11月4・5日 カーネギーホール
 クープラン=ミヨー/「La Sultane」前奏曲とアレグロ
 シューマン/交響曲第2番
 プロコフィエフ/ピアノ協奏曲第2番
 スカルコッタス/ギリシャ舞曲集(アメリカ初演)
  指揮/ディミトリ・ミトロプーロス
  ピアノ/ピエトロ・スカルピー二

1954年11月7日 カーネギーホール
 パガニーニ=モリナーリ/無窮動
 プロコフィエフ/ピアノ協奏曲第2番
 シューマン/交響曲第2番
 スカルコッタス/ギリシャ舞曲集
  指揮/ディミトリ・ミトロプーロス
  ピアノ/ピエトロ・スカルピー二

1954年11月11・12日 カーネギーホール
 ブラームス/ハイドンの主題による変奏曲
 メンデルスゾーン/ヴァイオリン協奏曲
 ブラームス/交響曲第2番
  指揮/ディミトリ・ミトロプーロス
  ヴァイオリン/ジノ・フランチェスカッティ

1954年11月14日 カーネギーホール
 ロイ・ハリス/交響的警句(世界初演)
 メンデルスゾーン/交響曲第5番
 チャイコフスキー/ピアノ協奏曲第1番
 ドヴォルザーク/序曲「謝肉祭」
  指揮/ディミトリ・ミトロプーロス
  ピアノ/ヴァン・クライバーン

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10月14日がショスタコーヴィチの第10交響曲のアメリカ初演。このシンフォニーは1953年12月17日にレニングラードでムラヴィンスキーによって演奏されたのが世界初演。
手元にあるMCAミュージック版のスコアにも、ミトロプーロスによるアメリカ初演の記録が掲載されています。

10月23日のミヨー作品は、バレエ音楽「サラダ」から編曲したもの。

10月28・29日のクープラン作品については詳しいことは不詳です。そもそもフランソワ・クープランなのかルイ・クープランなのか。編曲者バズレール Bazelaire という人に付いても調べがつきません。

この日に世界初演されたリエティ Vittorio Rieti (1898-1994) は、エジプトのアレキサンドリアに生まれてニューヨークに没したという変わった経歴のイタリアの作曲家。1940年にアメリカ移住、1944年にアメリカ国籍取得。
1925年からパリに住み、ディアギレフのためにバレエ作品も書いています。ストラヴィンスキーやフランス6人組に影響を受けた人です。

10月30日に演奏されたクープラン作品のミヨー編曲、こちらは間違いなくフランソワ・クープラン。原曲は4声のソナタ「スルタン妃」。ミヨーが編曲したスコアはエルカン=フォーゲル社から出版されています。3管編成で、演奏時間7分。

11月4日にアメリカ初演されたスカルコッタス作品は、かつてオイレンブルクからポケット・スコアが出ていたほど有名になった作品です。スカルコッタス Nikos Skalkottas (1904-1949) は、カルキスに生まれてアテネで没したギリシャの作曲家。もちろんミトロプーロスと同郷です。ベルリンで勉強した後、1933年に帰郷。作曲家であることを知られないように秘密裏に作曲した人で、作品は死後になって認められています。
ギリシャ舞曲集は36曲からなっていますが、オイレンブルク(ユニヴァーサルからも出版)にあったのは5曲を選んだもの。ミトロプーロスが演奏したのは恐らくこの版だと思われますが、詳細は判りません。

11月14日に世界初演されたハリス Roy Harris (1898-1979) は、ネブラスカで生まれカリフォルニアで没したアメリカの作曲家。交響曲作家として知られる人で、第1交響曲はクーセヴィツキー/ボストン交響楽団が初演しています。特に第3が名高く、バーンスタインも得意にしていましたっけ。
シンフォニーは全部で13曲ですが、第13番は「第14番」として初演されています。何故かは判りません。ここで初演されたのは Symphonic Epigram というタイトル。

 

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