N響・第1665回定期の放送

この回もBS2の放送が流れてハイビジョン放送を見たもの。1月15日にNHKホールで行われたC定期です。
これもフォスターに替ってピンチヒッターが指揮台に立った回ですが、予定されていた曲目に変更はありません。

プログラムはオール・チャイコフスキーで、最初がスラヴ行進曲、ピアノ協奏曲第1番が前半。後半は「くるみ割り人形」の第2幕全曲というもの。協奏曲でのソリストは予定通り清水和音でした。

指揮者の代演は、テキサス州ヒューストン生まれのジョン・アクセルロッド John Axelrod という若手。私は不勉強で名前も初めて聞きましたし、もちろん指揮振りを見るのも初めてですが、既にN響定期にも登場したのだそうですね。

さて曲目ですが、これでメインが三大交響曲の一つならどうしようもないほどの名曲コンサートです。辛うじて比較的演奏されることが少ない「くるみ割り」の2幕全曲なので何とか定期としての格好が付いているもの。
いくら御茶の間の視聴者を大切にするNHKとは言え、このプログラムは酷いのじゃないでしょうか。

前半はほとんど感想にもなりませんが、清水のピアノは実に楽々としたものでした。テンポはどちらと言うと遅い部類で、退屈の一歩手前で踏み止まった感じ。ファンの多いピアニストなのであまり辛口なことは書けませんが、もう少しスリリングな展開があっても良いのじゃないでしょうかね。
(使用ピアノはスタインウェイ)

後半は一部の繰り返しを省略しただけのほぼ完全な全曲演奏。演奏機会が少ないながらチャイコフスキーの美しいメロディーが満載、客席も大いに酔った様子でした。

指揮者がスコアのページを捲る個所がカーマス版と異なっていたので、あるいは別のエディションを使っていたのかも知れません。
この曲にはクリントン・ニューウェグという人の各種版の比較チャートなるものが作成されている位ですから、細部にはいろいろな相違があるのでしょう。
私が気が付いたカーマス版との相違は一箇所だけ。

放送で接しただけですから大したことは言えませんが、アクセルロッドと言う指揮者は中々の実力派という印象を受けました。スコアを良く読みこんでいるようで、ポピュラーな選曲にも拘わらずスコアを置いて(実質的には暗譜していましたがね)指揮する姿には好感が持てます。

指揮のテクニックは堅実にして的確ですし、音楽作りも誠実で堂々たるもの。着実にキャリアを重ねて大成するタイプと見ました。

次回は自身のプログラムで再登場されることに期待しましょう。

尚、次回の広上淳一が指揮した第1666回定期はナマで聴き、その感想もアップしていますので、放送を見ての感想は省略します。

 

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