ショカツサイ

東京の春を紫色に染めるのがショカツサイです。都内を縦横に走る電車の線路脇、この花を見ない場所は無いほどです、と言っても東京特有の現象だそうですね。

ということは帰化植物です。それもかなり年季の入った帰化植物で、既に江戸時代に栽培された記録があるのだそうです。
中国が原産、漢字では「諸葛菜」と書きますが、別名がいくつかあって、ハナダイコン、オオアラセイトウ、シキンソウとして記載されている図鑑もあります。

ショカツサイには思い出があって、1990年頃のこと。小学生に上がった息子が学校で覚えて来たらしく、春先に白い蝶を見つけて、“あ、モンシロチョウだ” と叫んだのです。
“そうだね” と言ってよくよく見ると、これが全てスジグロシロチョウ。腰を抜かすほどに驚き、飛んでいるシロチョウを片っ端からチェックしてみても、モンシロチョウの姿は無く、スジグロばかり。

私自身が子供の頃にはスジグロチョウは都内にはおらず、辛うじて自宅近くで1頭採集して大切に保管していたものです。

そこで蝶に詳しい人に聞いてみると、スジグロチョウが都内で増えたのには二つ理由があり、一つは高層ビルが乱立したことによって町が暗くなり、本来は森林を好むスジグロの生息環境に適して来たこと。
もう一つには食草となるショカツサイを東京中に植えて回った「花咲か爺さん」のお陰で、食料に困らなくなったからだとか。

その時は高説になるほどと感心したものですが、恐らく1990年を境にしてスジグロは激減。現在は都内でもモンシロチョウが勢力を回復し、スジグロはほとんど見掛けることは無くなりました。
高層ビルは相変わらず建ち続けていますし、ショカツサイも増えこそすれ減っているとは思われません。真因は何だったのでしょうか。

ということなのですが、ショカツサイを中国から持ち込んで、東京都内に広めた人がいるのは事実のようです。

学名は Orychophragmus violaceus オリコフラグムス・ヴィオラケウス。属名の意味は調べが付きませんでしたが、種名は「すみれ色の」という意味。ショカツサイの花がスミレと同じ色という判り易い命名ですね。

 

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