ムラサキケマン

ムラサキケマンと言えば、ウスバシロチョウの食草です。子供の頃は毎週のように高尾山で昆虫採集に明け暮れていましたが、そこで出会ったのがウスバシロとムラサキケマンです。

ですから比較的最近になって自宅付近で見つけた時にはかなり驚きましたね。おっ、ムラサキケマンじゃ。ウスバシロはいないか、とね。

どちらかと言えば日当たりのあまり良くない場所、湿り気がある藪影などに咲く植物で、花は独特の形をした紫色をしています。
この形は専門的には「距」(きょ)と呼ぶのだそうで、花の後ろ側が付き出しています。この形を見れば間違うことはないでしょう。

昔から都会にもあったのかも知れませんが、私は気が付きませんでした。何処にでもあるというわけではありませんが、例えば駐車場の片隅などに出ていて、よく見ると水道栓の隣だったりして思わずニンマリしてしまいます。なるほど都会の湿地だ、と。

葉の形がチョッと見るとパセリに似ていて美味しそうに見えますが、実は毒があるそうで、決して食べてはいけません。
ということは、もしかするとウスバシロチョウには有毒成分が含まれているのかも知らず、それでユッタリと飛ぶのかな、などと考えてしまいました。誰も実証したわけではないので、ここだけの話ですよ。

ムラサキケマンにはネコイラズという別名(方言?)もあるそうです。

紫華鬘の「華鬘」は仏具の一種。花の形がこれに似ていることによる命名だそうですが、私は華鬘そのものを知らないので何とも言えません。

種にはアリの好物が付着していて、アリが種を運んで増やしてくれる仕組みはスミレと同じですね。

学名は Corydalis incica コリダリス・インキサ。属名コリダリスとはギリシャ語の「ヒバリ」のことだそうですが、花の形からの連想でしょうか。
種名は「不揃いに深く裂けた」という意味の由。これは葉の形を表現しているのでしょう。

 

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