フランスの新星2騎

昨日は北半球で今年最初のクラシックである桜花賞が行われましたが、フランスでもいよいよロンシャン競馬場のシーズンが本格的にスタートしました。アイルランドのカラー競馬場の結果と合わせてレポートしましょう。

先ずロンシャンはノアイユ賞(GⅡ、3歳、2100メートル)。10頭の若駒が揃いましたが、17対10の1番人気に支持されたのがプランテール Planteur 、2歳時3戦2勝で今シーズンの初戦です。

プランテール、強かったですねぇ~。ジックリと先行馬をマークし、ゴール前300メートルで先頭に立つと他馬をぐんぐんと引き離しての圧勝。追走馬群からはリワイルディング Rewilding が抜け出して来ましたが1馬身半及ばず。
2着馬からは更に5馬身の大差が付いて3着にアイヴォリー・ランド Ivory Land が食い込んでいます。

プランテールの調教師はエリー・ルルーシュ、鞍上はアンソニー・クラスタスでした。

勝馬はこれで4戦3勝2着1回。もう一つトライアルを叩いてフランス・ダービーに向かう予定です。昔のローテーションならリュパン賞(このGⅠトライアルは廃止されました)なんだが、と言うのがルルーシュ師のコメントですが、多分オカール賞を使うのではないでしょうか。

馬主はフランスでは長い歴史を持つウィルデンシュタイン・ファミリー。同ファミリーは1997年にパントル・セレーブル Peintre Celebre で仏ダービーを制しており、二度目のダービー制覇を狙います。

パントル・セレーブルは、パリでも最も有名な画商であるダニエル・ウィルデンシュタインの所有でしたが、ダニエルは2001年に死去、現在は二人の息子が父を引き継いでいます。
その一人であるギイ・ウィルデンシュタインは、ニューヨークからパリ入りしてプランテールの優勝を見届けました。今年のクラシックは力が入るでしょうね。

一方2着に伸びて来たリワイルディングは如何にも距離が延びて力を発揮するタイプ。こちらも当然ダービーを狙ってくるでしょう。

続いては古馬によるダルクール賞(GⅡ、4歳上、2000メートル)。歴戦の古馬8頭の中から6対5の大本命に支持されたのが、未だキャリアの浅いカットラス・ベイ Cutlass Bay 。こちらもノアイユ同様見事期待に応えました。

カットラス・ベイは、今年4歳ながら未だこれが4戦目。3歳時にグレフュール賞に勝ったあと前脚を骨折し、11か月の休養明けでした。
グレフュールで破ったカヴァルリーマン Cavalryman はそのあと凱旋門賞で3着した馬ですから、カットラス・ベイの能力はそもそも相当なレヴェルにあると見てよいでしょう。

この日はマクシム・グィヨン騎手があまり無理をさせずに中団で待機。直線に向いたところで先頭に立ち、コート・カニバル Court Canibal の猛追を首差抑えての優勝です。
3着は4分の3馬身差で牝馬のセリメーヌ Celimene の順。

カットラス・ベイはアンドレ・ファーブル厩舎の管理馬で、これで4戦無敗と負け知らず。師の青写真では、このあとは5月2日のGⅠ戦ガネー賞が目標の由です。このまま勝ち続けてフランス古馬のエースに登り詰めるか。

2着のコート・カニバルは前走のエクスバリ賞で凡走しましたが、本来の走りを取り戻したと言えましょう。

また3着のセリメーヌはドバイのGⅢ戦を制したばかり。これが牡馬との初対決でしたから、こちらも楽しみですね。

さて、ダルクール賞の30分後、アイルランドのカラー競馬場でグラッドネス・ステークス(GⅢ、4歳上、7ハロン)がスタートしました。7ハロンという距離はスプリンターとマイラーの中間、微妙な位置付けではあります。
7頭立て、こちらは小波乱という結果になっています。

優勝したのは10対1のカルガリ Kargali 、6対4で1番人気のライェーニ Rayeni は4分の3馬身及ばす2着。更に半馬身差3着にも全くの人気薄クロワサルタン Croisultan が飛び込んできました。
本命に推されたライェーニは愛2000ギニーで2着した実力馬ですが、今日はシーズン初戦ということもあって少し引っ掛かったのが敗因でしょうか。

実はカルガリとライェーニは去年まではステーブルメイト(同厩馬)だったんですね。共にジョン・オックス師の管理馬だったのですが、カルガリに惚れ込んだルーク・カマー調教師が去年の11月に購入して引き抜き、夫人(マーガレット・カマーさん)の勝負服で登録しているのです。

今回の騎乗はジョニー・ムルタでした。

ところでこの日、ムルタ/オブライエン・コンビにとってはフラストレーションの溜まる一日になってしまいました。

二つのリステッド戦にオブライエン厩舎のエース格が登場し、いずれも凡走してしまったのですね。

最初は7ハロンのラフブラウン・ステークスで、ここにはアルフレッド・ノーベル Alfred Nobel が出走しましたが、何と8頭立て7着の惨敗。同馬のクラシックには一遍に暗雲が立ちこめます。

オブライエン師によれば、アルフレッド・ノーベルは本来はスピード馬。2歳時は6ハロンで2勝していますし、7ハロンでの勝鞍も良馬場でのもの。この日は馬場が極めて重く、スピードが活きなかったという見解です。
加えてGⅠ馬としてのペナルティーも敗因の一つに加えられるでしょう。このあとはスプリント路線に回る可能性もあるようです。

ところでこのリステッドを制したのはオックス厩舎のケレダリ Keredari 。アガ・カーンの所有馬で、これで3戦2勝3着1回。1月1日生まれという話題もあって、クラシックにも視界良好と言えるでしょうか。

もう一つのショックは、アレッジド・ステークス(1マイル2ハロン)に出走したフェイム・アンド・グローリー Fame And Glory 。愛ダービー馬でシー・ザ・スターズに続く2番目の実力馬であることは衆目が認めるところ。

この日も道中は快調に飛ばしているように見えましたが、勝負どころでは全く反応が無く、シーズ・アワ・マーク She’s Our Mark という馬の3着に沈んでしまったのです。

オブライエン師は然程失望した様子ではありませんでしたが、当初予定していたガネー賞は白紙に戻すとか。
一応、この日の馬場の重さとシーズン初戦を敗因に挙げていますが、レース後は明らかに馬がパテてしまった感じ。パリ行きは無くなるかもね・・・。

 

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