トスカニーニとの会話

最近はテレビで音楽番組を見ることはほとんどなくなりました。拙宅の視聴環境が劣悪な所為もありますが、そもそも音楽はナマで聴くのが本筋と思うからでもあります。残念ながら、録音や録画では失われてしまうものが大き過ぎるのですね。

しかし昨日、NHKハイビジョンで放送されたドキュメントだけは久し振りに興味を覚え、録画して見ました。
クラシックドキュメンタリー「トスカニーニとの会話」という番組です。

フランスで制作された1時間15分の番組で、トスカニーニの息子ワルターが私的に録音した引退後のマエストロの会話をベースにしたもの。何でも150時間以上の記録が残されているのだとか。

番組は1954年12月31日のトスカニーニ邸での団欒という設定で、トスカニーニを初め家族や関係者を俳優が演ずる形で進められます。そこに実写フィルムが挿入され、細切れではありますが音楽も流れます。
トスカニーニ役のバリー・ジャクソンという俳優がトスカニーニそっくりなのも笑えました。

面白いのは他の音楽家を批判する場面ですね。

マリア・カラスは、歌詞が聴き取れない
ストコフスキーは、胸の悪くなるような演奏、野蛮で品が無く、非音楽的な演奏
プッチーニは、独創性のかけらも無い作曲家
フルトヴェングラーは、日和見主義者

という具合です。
トスカニーニはプッチーニのオペラも良く取り上げていた筈ですが、唯一素晴らしいのはボエーム第3幕の四重唱だけと言っています。それでもここは作曲の10年前に出版されたクリスマス曲集のパクリだとし、蝶々夫人の冒頭はベルリオーズのロメオとジュリエットから借用しただけ、と手厳しい指摘。

オペラではヴェルディとワーグナーを褒め、それ以上にベートーヴェンを神の如き存在と讃えていました。
若くして亡くなったカタラー二の独創性を絶賛していたのも印象的で、プッチーニやジョルダーノとは比較にならないのだそうです。

最近はCDもほとんど聴かなくなりましたが、心を入れ替えて古い録音、特にトスカニーニの盤を引っ張り出してみようかな、という気持ちになりました。
いずれにしても涼しくなってからでしょうね。

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