秋ナスはヨメに食わすな

暇潰しネタ

主婦の仕事というのは大変なもので、日々の食事を考える。これだけで大仕事なのです。365日休む暇もなく、世話している子供たちや旦那がピイピイと腹を空かせて騒ぎ立てる。

最近、家内が凝っているのがブログ。なかでも主婦向け献立アドバイス・ブログは、密かなる人気を集めている由。
さっきも今晩の夕食を何にするか聞かれましたワ。ブログの写真を見ながら選ぶ仕組み。勿論いつもこんなことをしているわけではないけれど、困ったときの何とか、です。

それで食欲をそそられたのがナス。季節は秋、まさに秋茄子であります。
“諺にいうでしょ。秋茄子は嫁に食わすな”

チョッと待った。それ、どういう意味か知ってる?

嫁いびりの諺でしょ。
と、思うでしょ。違うんだな、これが。

と言いつつ取り出してきたのは、中村浩先生の「植物名の由来」(東京書籍)。もう絶版でしょうけど。この本に出てくる、「ヨメナは果たして嫁菜か」という一項。

先生によれば、
“秋ナスを嫁に食わすな”という有名な諺は、“秋になってから収穫されるナスは、夏のころのものより味が良いので、この美味なナスを他家から嫁にきた女には食わすな”の意味で、「嫁いびり」をあらわしている、と前置きしつつ、他の説も紹介していきます。

体が冷えないように、という健康説。
秋ナスには種が少ないので、縁起かつぎ説。

そこで先生、「ヨメ」に注目するのです。果たしてヨメは嫁か。

詳しくは古書店でこの本を探して読んでもらうことにして、結論を言えば、古語でヨメのことを「鼠」と書き、ヨメと音読みするのですな。
恐らく、ネズミが夜、物を見ることができるので、「夜目」といったことに由来するのであ~る。

つまり、
“秋ナスをヨメに食わすな”という諺は、“うまい秋ナスをネズミに食わすな”ということになるのです。
ま、説は説ですが、私は断然この説を採りますね。なんたって中村先生は、わが祖父の学問仲間でしたから、同じ「目」でも、贔屓目もあります。

「秋ナスを嫁に食われて七里追う」は、“美味な秋ナスをネズミに食われて、くやしいので七里も追いかけてネズミ退治をしなければならないほど秋ナスは大切なものだ”ということ。
いくらなんでも、嫁さんを七里も追いかけ回す姑は度が過ぎるし、そんな逃げ足の速い嫁さんはいそうにないでしょ。

ということで今晩は秋ナスにありつけそう。ネズミに気をつけなくちゃ、ネ。

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