ブリーダーズ・カップ2010二日目

昨日は疲れて熟睡、マイルが始まる直前に目が覚めました。そしてゴールディコヴァの3連覇達成!!
素晴らしいじゃありませんか。でも順番に振りかえりましょう。

①ジュヴェナイル・ターフ 1頭取り消して12頭立て。
ヨーロッパからは強力な3頭が参戦し、特にオブライエン厩舎のマスター・オブ・ハウンズ Master Of Hounds が37対10の1番人気を集めていました。

しかしレースは最初から波乱含み。第1コーナーでラフ・セイリング Rough Sailing が落馬。何頭かが影響を受けます。
結局ヨーロッパのトリオは全て凡走、マスター・オブ・ハウンズの6着が最高で、ゴスデン厩舎のアットリー Utley が7着、デットーリが騎乗したミーハン厩舎のマニトバ Manitoba は10着惨敗に終わりました。

優勝は32対5の地元馬プラック Pluck 。何と1コーナーの落馬事故で最後方まで下がる不利を被った馬。そこから驚異の巻き返しですから、負けたヨーロッパ勢もアクシデントを敗因には出来ませんね。
1馬身差2着はソルダート Soldat 、更に1馬身半差3着はウィルコックス・イン Willcox Inn 。

勝馬の調教師はトッド・プレッチャー、落ち着いてアクシデントを克服したのはギャレット・ゴメス騎手でした。

②スプリント 12頭立て。
ゴドルフィンのジロラモ Girolamo が41対10の1番人気に支持されていましたが、これまたブービー11着の大凡走です。

優勝は26対5のビッグ・ドラマ Big Drama 。1番枠を嫌ってスタートから飛ばし、そのまま逃げ切っての作戦勝でした。
1馬身半差の2着にハメージング・デスティニー Hamazing Destiny 、首差3着がスマイリング・タイガー Smilling Tiger という結果。

調教師デヴィッド・フォウクス、騎手アイバー・コア、共にブリーダーズ・カップ初制覇となりました。

③ターフ・スプリント 1頭取り消しで14頭立て。
芝コースながら今年はヨーロッパ勢の参戦なし。

快調に逃げたセントラル・シティー Central City をゴール前1ハロンで捉えたシャンベルラン・ブリッジ Chamberlain Bridge の快勝。69対10のオッズでした。
1馬身半差2着に逃げたセントラル・シティー、更に1馬身4分の1差3着はアンジップ・ミー Unzip Me 。
3対1の1番人気に支持されたシルヴァー・ティンバー Silver Timber は5着に終わっています。

勝馬の調教師はブレット・カルホーン、勝利騎手はジェイミー・セリオット。
師によれば、シャンベルラン・ブリッジは脚部不安があって、週の初めには取り消しも考えていた由。陣営としても予想外の勝利だったそうです。

④ジュヴェナイル 10頭立て。
唯一のヨーロッパ勢、ゴドルフィンのビオンデッティ Biondetti はまたも期待に応えられませんでした。4着まで。

優勝は7対5の断然1番人気に支持されたアンクル・モー Uncle Mo 。これで無傷の3連勝となる同馬の貫禄勝ちといったところでしょうか。

4馬身4分の1の大差が付いて2着はボーイズ・アット・トスコノヴァ Boys At Tosconova 、3着ローグ・ロマンス Rogue Romance は更に6馬身の差が付く圧勝劇です。

勝利調教師ドッド・プレッチャーは、この日ダブル達成。鞍上はジョン・ヴェラスケス騎手。
一躍2歳のスターに躍り出たアンクル・モーには、早くもケンタッキー・ダービーに3対1のオッズが提示されました。

⑤マイル 11頭立て。
冒頭に書いたように、ゴールディコヴァ Goldikova が13対10の圧倒的1番人気に応えてブリーダーズ・カップ3連覇を達成しました。今年のBC、ヨーロッパ勢の初勝利です。

レースはシドニーズ・キャンディー Sidney’s Candy の逃げで始まりましたが、本命ゴールディコヴァは大外10番枠も、スタートの出遅れも、短い直線も全く問題にせず、6番手追走から直線は大外を通り一気の末脚でゴールを突き抜けました。

1馬身4分の3差2着にジオ・ポンティ Gio Ponti 、首差3着がザ・ユージャル・キュー・ティー The Usual Q.T. の順。、ゴスデン厩舎のパコ・ボーイ Paco Boy もいつもの差し脚で追い込みましたが、ハナ差届かず4着でした。
他のヨーロッパ勢、デレゲイター Delegator は8着、オブライエン厩舎のベートーヴェン Beethoven は10着大敗です。

新たな歴史を切り拓いたゴールディコヴァ、今回の勝利はこれまでの2勝以上に見事なもので、管理するフレッディー・ヘッド師も、騎乗したオリヴィエ・ペリエも同馬に絶賛を惜しみません。

ウイナーズ・サークルに戻ってきたゴールディコヴァにアメリカの一ファンが、“今日の女傑はゼンヤッタだけじゃないゾ!!” という声が飛んでいたのが印象的。
某ジャーナリストが“クレオパトラはナイル(Nile)の女王、ゴールディコヴァはマイル(Mile)の女王” と評していたのには笑いました。

ゴールディコヴァの今後は未定ですが、気の早いブックメーカーはゴールディコヴァのBCマイル4連覇に7対2のオッズを出していました。

⑥ダート・マイル 1頭取り消しで12頭立て。
去年に続き番狂わせです。ゴドルフィンが2頭出しで臨みましたが、デットーリ騎乗のガイェーゴ Gayego は好走するも最後の瞬発力で及ばず3着。

優勝は38対1というトンデモナイ大穴のダコタ・フォーン Dakota Phone 、ゴール前で先に先頭に立ったモーニング・ライン Morning Line を頭差捉えての勝利です。
更に1馬身4分の1差3着がガイェーゴ。27対10の1番人気ヒヤ・カムズ・ベン Here Comes Ben は11着惨敗で期待を裏切りました。

勝馬の調教師ジェリー・ホーレンドルファーにとってはブリーダーズ・カップ初制覇。ジョエル・ロザリオが騎乗していました。

⑦ターフ ヨーロッパ勢のエース、ワークフォース Workforce が当日の朝に取り消し、7頭立て。
私にとっては今年のブリーダーズ・カップ最大の注目はワークフォースだっただけに、これは残念なニュースでした。しかし信頼すべきスタウト師の判断、人気になる馬だけに万全でなければ出走させないという結論に至ったのでしょう。

出れば圧倒的な1番人気になるはずのワークフォースが取り消したため、替って11対10の1番人気に押し出されたのは、同じくヨーロッパから凱旋門賞4着のベーカバッド Behkabad 。
ルメール騎乗で3番手を進むも、最後は伸び切れず3着と期待を裏切りました。

しかし優勝はヨーロッパ勢です。17対2のデンジャラス・ミッジ Dangerous Midge が最後の100ヤードで先行するチャンプ・ペガサス Champ Pegasus を1馬身4分の1抑えて栄冠に輝きました。
更に2馬身差3着が本命ベーカバッドの順。もう1頭のヨーロッパ組ドビュッシー Debussy は5着に終わっています。

騎乗したランフランコ・デットーリ騎手は負け続きでフラストレーションが溜まっていたでしょうね。前のレースで漸く3着してから運が向いてきたのかも知れません。
いずれにしてもデットーリにとってはブリーダーズ・カップ4勝目。1999年のデイラミ Daylami 、2001年のファンタスティック・ライト Fantastic Light 、2006年のレッド・ロックス Red Rocks に続く戴冠です。

そのレッド・ロックスを調教したブライアン・ミーハムにとって、今回のデンジャラス・ミッジはBC2度目の制覇となりました。

⑧クラシック 12頭立て。
世界の注目は、もちろん無敗の女傑ゼンヤッタ Zenyatta のブリーダーズ・カップ・クラシック2連覇なるか。イーヴンの圧倒的1番人気に押されているのも当然です。

しかし魔が差したのでしょうか、20戦目にして初黒星。大金星を上げたのは、26対5のブレイム Blame でした。
ゼンヤッタの鬼脚のような追い込みは頭差届かず2着、3着には3馬身半差でフライ・ダウン Fly Down が入っています。
日本のエスポワールシチーは健闘空しく10着に終わりました。

ゼンヤッタはスタートで出遅れ、終始最後方を進み、一時は先頭から25馬身も離される展開。直線入り口でもドン尻を走っているゼンヤッタにケンタッキーのスタンドから大歓声が沸き起こります。
そこから信じられないような末脚を爆発させたゼンヤッタ、前の馬を次々に牛蒡抜きで先頭に迫りましたが、僅かに届きませんでした。

鞍上のマイク・スミスは、“馬じゃない、オレが悪かった” と泣き崩れました。極端に後ろから行ったのは、ゼンヤッタはダートを被るのを極端に嫌うから、とのこと。
それでも大差を一気に詰めた豪脚、何と言う牝馬でしょうか。

勝利調教師はアルバート・ストール・ジュニア、騎乗したギャレット・ゴメスはジュヴェナイル・ターフに続くダブル達成です。

以上、今年のブリーダーズ・カップの速報でした。
ワークフォースの取り消しは残念でしたが、ゴールディコヴァの3連覇、ゼンヤッタ負けてなお強しのクラシックと、大いに沸いたケンタッキーだったようです。

二日目のフォトアルバムはこちらから、↓
http://gallery.sportinglife.com/Gallery_Detail/0,17732,13262_6491130,00.html

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