第94回・東響芸劇シリーズ
昨日は急遽池袋に出陣、東京交響楽団の芸劇シリーズを聴いてきました。知人のお誘い、友人のピンチヒッターを賜った次第。
内容は、
東京交響楽団 第94回東京芸術劇場シリーズ
マーラー/歌曲集「少年の不思議な角笛」より
①番兵の夜の歌
②ラインの小伝説
③美しいトランペットの鳴り響くところ
④魚に説教するパドヴァの聖アントニオ
⑤原光
⑥レヴェルゲ(起床ラッパ)
⑦少年鼓手
~休憩~
ブルックナー/交響曲第7番(ノヴァーク版)
指揮/大友直人
独唱/マティアス・ゲルネ
コンサートマスター/大谷康子
このシリーズは今日の指揮者、大友氏がプロデュースしているシリーズですね。東響のコンサートの中では、私にとっては最も興味あるシリーズです。実際に前回(?)のエルガーはチケットを事前に買いましたから。
実はこの回も食指が動いたんですが、結局は断念。それがお誘いを受けたので、喜んで出掛けた訳です。
ということでほとんど準備もなし。まぁ、いいでしょう。
で、マーラーなんですが、私はマーラーは良く判りません。この角笛歌曲集、以前は「子供の・・・」と呼ばれていましたが、最近は「少年の・・・」に替わっていますね。何か根拠があるんでしょうね。
今回の7曲。これも不思議なんです。古い人間にとって角笛歌曲集は2つ。第1集・第2集とも5曲づつのスコアで楽しんできました。他に7つの歌曲集というスコアがあって、この最初の2曲が角笛の歌詞、残り5曲がリュッケルトということで分断されたようです。この日ゲルネが選んだ⑥⑦がそれ。
⑤は第2交響曲の第4楽章そのものですよね。交響曲ではアルトが歌う奴。
ですから私の認識では、純粋な角笛歌曲集は最初の4曲だけということになります。①は第1集の第1曲、②~④が第2集で、夫々第2・4・1曲に相当します。
こういうことに拘泥するからイカン。今回の選曲、何か意味があるんでしょうかね。③④⑥⑦がいずれもハ短調というのも暗示的かな。
同行の知人によると、ゲルネは今回が3度目の来日の由。出来は今日が一番納得した、ということでした。
思い出しましたが、初来日のときに「冬の旅」をオペラシティの天井で聴いてます。あの時もお誘いでしたっけ。その直後にホッターが亡くなった、確か。
ゲルネのマーラー、なかなか良かったですよ。特に③と⑦は感動的でした。もちろん聴きもの⑤も、アルト版とは趣も新た、バリトン版も説得力ありました。
ファンが多いのでしょう、かなりの喝采が掛かっていました。
後半のブルックナー。マエストロは節目ごとに取り上げてきた作品ですから、いわば勝負曲。さすがですね。
大友氏は何かサプライズを仕掛ける指揮者ではありません。作品そのものに音楽を語らせるタイプの演奏、今日もそのスタイルの中で最善を尽くしていたと言えるでしょうか。第2楽章あたりからジワジワと聴衆を惹き込み、ブルックナーの大作を堂々と締めくくりました。
ただ不満がなかったわけでもありません。それはやはりオーケストラの音色でしょうか。例えば某オケと比較してしまうと、やや音色が堅いのです。その半面で本当の意味での重さ・深さに欠ける。例えば第1楽章のコーダは、ティンパニのトレモロに乗って弦のバスが主題を謳い上げるのですが、充分な重みがないのでティンパニに負けてしまう。
このコンサートだけを楽しめば満足して家路につけるのでしょうが、私はもっと凄い演奏でこの作品を体験してしまっている。あまり贅沢を言ってはいけないんですが、結局はチケットを買うことを断念した理由がこの辺にあるんですよね。
あ、勿論この日は格安ながら、チャンとチケット代金(1階U列)をお支払いして聴いてきたんですよ。
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