京都市交響楽団・第501回定期演奏会



京都市交響楽団をナマで聴くのも、京都コンサートホールを体験するのも初めてのことです。従ってここでは現地報告ということで・・・。

この日は雨、それも昼頃を中心に本格的な降りでした。ホールの開場は6時、ここも傘立がない!! 濡れ傘は、傘袋に入れて各自ホールに持ち込むのです。チョッと嫌な予感ですね。
エントランスからホワイエまでは螺旋状の廊下になっており、壁に京響50周年を記念した歴代常任指揮者のパネルが飾られています。もちろんこのホールで演奏した代表的な音楽家の写真も。

7時の開演に先立ってロビー・コンサートが行われました。これは毎回行われているものではないようです。創立50年に当たった前シーズンに実施したものが好評で、今シーズンも継続しているとのこと。次回は9月定期で、というアナウンスでした。
この日は京響のメンバーで結成されているアンサンブル・アンフィニが担当。全て女性奏者で、フルートが西尾牧子、ヴィオラは高村明代、ハープが松村衣里という面々。曲目はアーノルド・バックスのエレジアック・トリオ。えっ、バックス。ということで聴いてきました。

どうもホールがガサガサしている上に、京都らしく実に上品な演奏。バックスが聴けた、と言うに留めておきます。
ということで始まったコンサートは次のもの。

京都市交響楽団第501回定期演奏会 2007年6月22日 京都コンサートホール
ラフマニノフ/パガニーニの主題による狂詩曲
~休憩~
マーラー/交響曲第4番
指揮/大友直人
独奏/小川典子
独唱/平松英子
コンサートマスター/グレブ・ニキティン

主眼は小川典子の弾くラフマニノフ。あとで彼女自身が語っていたように、パガニーニ狂詩曲はまだ東京では弾いていないのです。わざわざ京都まで聴きに来たのは、これが聴きたかったから。

期待通り、見事なラフマニノフでした。
実はこの作品をナマで聴くのは久し振り、といっても何時・誰の演奏で聴いたか思い出せないほど。レコードでも最近はご無沙汰だったので、往路で予習すべくスコア片手に新幹線に飛び乗ったのでした。
それはまた別に書き込みますが、小川典子の演奏で改めてラフマニノフの天才に納得。真に説得力に富んだ名演と言って良いでしょう。曖昧な箇所は微塵もない。大友直人との息もピッタリ、東京で聴けなかった人の分まで堪能して来ました。
客席も湧きましたヨ。京都の聴衆は大人しいとみえて、アチコチから歓声が掛かるというものではありません。しかしながら、拍手がいつまでも止まないのです。

何度目かのカーテンコールのあと、小川さんとマエストロ大友が何か話しながら登場。アンコールが告げられます。大友氏も指揮台に座り込んで息を詰めます。
ドビュッシーの「月の光」。
魅了された聴衆は、アンコールが終わっても彼女をあと2回、ステージに呼び戻すほどでした。

休憩時間を利用して楽屋へ。目敏く我々を見つけた彼女、“エーーッ、どういうワケぇ” “どうもこうも、こういうワケです”
ということで挨拶。一瞬ここが東京かと思った、ということでした。それは我々も同じ、小川さんのピアノに大友さんの指揮、ニキティンさんがコンマスですからね。

後半はマーラーの第4。改めて京都市交響楽団をジックリ聴いてきました。
ぴちゅうさんに解説していただいたように、このホールは音が真っ直ぐ客席に伝わってこないもどかしさがあります。初めての体験なので何とも言えませんが、音の色彩感が乏しい感じ。さすが京都だけに「墨絵」の如きオーケストラ、とでも表現しておきます。これが京響のカラーかしら。

終了後ホールを出て気が付いたのですが、物凄い湿気です。雨は止んだのですが、ジメッとした空気が肌に纏わる感覚。
これに加えて聴衆全員がずぶ濡れの傘をホールに持ち込んでいるのですよ。どう考えても楽器に良い訳がなく、京都でクラシック音楽を演奏することの難しさを思いました。
来月は祇園祭。この頃になると体中の水分が吸い取られるほどの暑さになるとか。京響の大敵は、この気候にあるのかもしれません。

 

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