BBC響の新ポスト
8月8日のプロムスはホスト・オケ、BBC響の登場。今回は同オケに新しく設けられたポストに就任したビチュコフの指揮です。
≪Prom 34≫
シューベルト/交響曲第8番「未完成」
リシャール・ドゥビュニョン/バトルフィールド協奏曲(英国初演)
~休憩~
R.シュトラウス/交響詩「英雄の生涯」
管弦楽/BBC交響楽団
指揮/セミョーン・ビチュコフ
ピアノ・デュオ/カーチャ&マリエル・ラベック
その新ポストの名は、「ギュンター・ヴァント・コンダクティング・チェアー」。セミョーン・ビチュコフのために作られたポストだそうです。
冒頭のシューベルト、未完成交響曲は日本では7番で表記されるのが最近の習わしですが、BBCでは古来の8番を使っているようですね。
想像していたよりスタイリッシュなシューベルトで、ティンパニはバロック・ティンパニでしょうか、硬質で張りのある音がしていました。第1楽章の繰り返しは実行。
2曲目のリシャール・ドゥビュニョン Richard Dubugnon は1968年生まれのフランス系スイス人作曲家。コントラバス奏者という側面もあるそうです。「戦場協奏曲」は去年ラベック姉妹のために書かれ、今回と同じビチュコフの指揮で去年11月にロサンジェルスで初演。今回が英国初演となります。
姉妹の音楽性の違いを強調するために採られた手法は、15世紀の戦争を描くというもの。ヒントになったのはパオロ・ウチェロ Paolo Uccelo (c1397-1475) の三幅画「サン・ロマノの闘い」だそうです。BBCの放送では、演奏に先立ってこの絵画を所有するナショナル・ギャラリーの学芸員の解説なども紹介していました。
全体は九つの部分に分かれ、戦争の各局面を忠実に追う構成。オケも左右に分割され 夫々がピアノを前に立てて戦争を表現します。更に左右のバルコニーにもトランペットが置かれ、ステレオ効果満点。
喝采に応えて、姉妹によるジャズ・ピースがアンコールされました。
最後は同じ Richard でもリヒャルト・シュトラウスの名作。戦争の場面があることも共通しています。尤もこちらはシュトラウス夫妻 vs 批評家たち、ですがね。
パウリーネ夫人を演じたのは、ゲスト・リーダーのセルゲイ・レヴィティンでした。
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