ヴァンスカ指揮BBC響

日曜日のプロムスはサリヴァンのオペレッタ「近衛騎兵隊」のセミ・ステージ上演でしたが、私はサリヴァンは好みじゃないのでパス、一つ飛ばして月曜日のプロムスを聴いたところです。

≪Prom 50≫
ベートーヴェン/「エグモント」序曲
モーツァルト/クラリネット協奏曲
     ~休憩~
ディーリアス/交響詩「おとぎ話」
ニールセン/交響曲第5番
 管弦楽/BBC交響楽団
 指揮/オスモ・ヴァンスカ
 クラリネット/マイケル・コリンズ

ヴァンスカは読響ですっかりお馴染みになりましたが、ミネソタも含めて海外公演も聴きに行かれる熱心なファンを知っています。今回もロンドンに出掛けたのでしょうか。
前半はウィーン、後半は北欧との繋がりで纏められたプログラムもヴァンスカらしい選曲で唸らせます。個人的には読響の首席指揮者に抜擢して欲しいマエストロではありますね。

ベートーヴェンはミネソタ管と交響曲全集を録音していますが、それを受け継いだキリッとした手応え。
続くモーツァルトはバセット・クラリネットを用いた演奏で、楽器の持つ広い音域、適度な装飾を施した素晴らしい演奏でした。特に第2楽章の60小節以降の pp には、聴き手も思わず息を殺して聴き入る様が手に取るように伝わってきます。

コリンズによるアンコールがありました。ヴァンスカ/BBC響の弦楽も参加して、ジェラルド・フィンジの「5つのパガテル」からロマンス。
これが何とも美しい作品で、私には大発見でした。調べてみると、本来はクラリネット・ソロにピアノが伴奏する作品ですが、アシュモアによる弦楽合奏版が最近ブージー・アンド・ホークスから出版されたのだそうです。ナクソスのCDで広く知られるようになったそうで、コリンズの録音もある由。
是非CDとスコアを手に入れなければ、と思った次第。知られざる佳曲に分類される一品でしょうが、この放送を聴いた恩恵ですな。

生誕150年記念で取り上げられたディーリアスは、プロムスでもこれが2度目の登場と言う珍品。ディーリアスは英国の作曲家ということになっていますが、生まれはドイツ人だし、ノルウェーにも縁の深かった人ですよね。
これはノルウェーのアスビョルンセンによる民話に基づいて書かれた交響詩で、私もスコアを持っていますが、実際に聴いたのは今回が初めてです。練習番号9の4小節目と、同10の6小節目とに男声による「ヘイ」という掛け声がかかりますが、今回は事前にBBCシンフォニー・コーラスによって録音されたものが使われたそうです。
ヴァンスカのディーリアスは珍しいレパートリーでしょうが、北欧繋がりの作品が選ばれているのは流石。先のデュトワが「パリ」を振ったのと好対照でしょう。

最後はヴァンスカ得意のニールセン。読響との感動的な交響曲全曲演奏を思い出しながら楽しみました。

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