スクロヴァチェフスキのベートーヴェン全集

新録音のCDはあまり買いません。手にするのはほとんどが旧録音の再発。新しいものは少なくなりましたし、出ても魅力があるものは少なくなりましたね。

ベートーヴェンの交響曲全集などは新録音の余地もないくらいですが、ここにとんでもないセットがあるんですよ。スクロヴァチェフスキがザール州のオーケストラを指揮してエームスに録音したもの。
少し前からボチボチ出ていたのは知っていましたが、いずれ全集に纏められると聞いていたので待っていたものです。

不思議なことに全集は日本盤と輸入盤とでは仕様が異なります。日本盤はコンパクトに5枚組なのですが、輸入盤は6枚。ところが値段は外盤の方が安いという逆転現象になっていますから、躊躇うことなく輸入盤をゲットして聴いている所です。
なかなか時間がないので進まないのですが、番号順に始めて漸く第7番まで来ました。全部聴き終わるまで我慢できなくなって書くんですが、これ凄いセットですね。

スクロヴァチェフスキのベートーヴェンは読売日響との第1・3・6・9番、N響との第4・5・7番を既に聴いています。読響はナマ、N響は放送です。

それでも、このCDは耳が洗われるような新鮮さに満ちています。一々書きませんが、第5なんてドキッとする瞬間の連続。とても1度聴いて“判りました”という演奏じゃありません。どうしても2度・3度と聴いてしまいます。

オーケストラが超一流のアンサンブルじゃないのですが、そこを逆手にとってダイナミクスの表現が実に個性的なのです。オーケストラは名人揃いのマッチョが必ずしも良いとは限らない好例。

弦の配置も曲によって変えていますね。馬鹿の一つ覚えに「対抗配置」に拘ったりしません。
楽譜も、○版による演奏、などという思考じゃぜぇ~んぜん、ない。嘘だと思ったら自分で買って聴いてくださいよ。6枚でも樋口一葉1枚でお釣りが来ます。

ポーランドには、自国の音楽家に関する情報を詳しく紹介している素晴らしいサイトがあって、それによるとスクロヴァチェフスキとザールの次なるプロジェクトはシューマン全集。
クララ作のピアノ協奏曲も含まれるそうですから、大いに楽しみです。単発はパスして、全集になってから買う積り。

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