ロストロポーヴィチ
ロストロポーヴィチ氏がモスクワで亡くなりました。80歳。
このニュースは、羽田に向かうバスの中で知りました。運転席の上に掲示される電光ニュース。
前日、芸劇で読売日響を聴きましたが、私の席と同じ列の右端に批評家・宇野功芳氏が座っていまして、その宇野氏と挨拶を交わしていた若い二人連れが丁度私の真後ろに席を取ったのですね。
多分、音楽関係か出版関係だろうと思うのですが、この二人が誰かの訃報について会話を交わしております。“ついこの間見たけれど、激痩せしてたからね”。
盗み聞きするのではなく、聞こえてくるから止むを得ません。個人名は挙がらなかったので誰のことかな、と思っていましたが、翌日のバスで、あ、ロストロさんか。
私はロストロポーヴィチのチェロをナマで聴いたことはありません。縁がなかったんでしょう。
指揮は一度体験したことがあります。コンサートではなく、リハーサルでした。すみだトリフォニーホール。オーケストラは新日本フィルではなく、何かのフェスティヴァルの臨時編成だったはずで、管楽器のトップには名人級が座っていましたっけ。
確か家内の友人から回ってきた招待券で、曲目はチャイコフスキーの第5交響曲です。最初はいかにもリハーサルという感じでしたが、暫くすると途中で止めることをせず、最後まで通して全曲を演奏してしまいましたね。リハーサルとは名ばかりでした。
音楽は丼のてんこもりを食べているようで、満腹を通り越すような感想を持った記憶があります。私の好みではありませんでした。
従って、ロストロ氏の想い出はこれだけ。
レコードは随分聴きましたよ。今でも愛聴しているものもあります。
リヒテルとフィリップスに入れたベートーヴェンのチェロ・ソナタ全集。
デッカ録音の目の醒めるようなブリテンのチェロ交響曲。
何といってもカラヤンと共演したドヴォルザークのチェロ協奏曲、DG盤。
私にとっては、あくまでもチェリストであり、レコードの人でした。
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