エルガーのヴァイオリン協奏曲
まだ気が早い、というのは鬼でなくても分かっているけれども、来年はエルガーの生誕150年です。序に言えば再来年、2008年はヴォーン=ウィリアムズの没後50年目ですね。
別に作曲家のことをあれこれ考えるのはアニヴァーサリーでなくとも構わないけれど、このお二人のようにまだまだ演奏される機会の少ない人については、記念の年に取り上げる口実にはなります。演奏する側にとってはね。
今もノリントン卿がN響でヴォーン=ウィリアムズの第5を指揮しています。私も聴きたかったけれど、いろいろなものが重なって結局は行けません。いずれテレビ鑑賞することとして、再来年のプログラムを楽しみにしましょう。
ところでエルガーは、今週早々とヴァイオリン協奏曲が聴けます。日本フィルの定期でジェームズ・ロッホランの指揮、川久保賜紀さんのソロで。
火曜日にはマエストロサロンもあるし、ちょっくら予習をしておこうと思うのです。
エルガー・コミュニティによると、この曲のCDお薦めはメニューインとハーンのものらしい。拙宅のCD棚を探したところ、どちらもない。これはマズイぞ。
で、あったのは、アルバート・サモンズのソロとヘンリー・ウッド指揮ニュー・クイーンズホール管の、な、何と1929年録音盤。もう一枚がパールマンのソロ、バレンボイムとシカゴ響。こちらはディジタルだから新しい。
今からレコードショップに行くのも面倒だから音源はこれで我慢します。
エルガーのヴァイオリン協奏曲といえば昔投稿したことがあったのを思い出して、ストックを探してみると、あった、あった。これです。
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ノヴェロから出版されているヴァイオリン協奏曲のスコアを開くと、「ヴァイオリン協奏曲、フリッツ・クライスラーに捧ぐ、エドワード・エルガー」と大書されています。
次に1ページめくると、”Aqui esta encerra el alma de…..” (1910) と書かれた1ページがあります。
私はスペイン語はチンプンカンプンですが、英語では “Here is enshrined the soul of…..” ということになります。ドットが五つあるので、ここには Elgar が入るという説もあるようですが、特定の女性説もあるようです。
アメリカ人女性・ジュリア・ワージントン Mrs.Julia Worthington であるという人もいれば、画家ミレーの娘・アリス・スチュアート=ワートレイ Lady Alice Stuart-Wortley であるという人もいます。
いずれもエルガーと親交のあった人で、今では“謎”のままでしょう。
文言そのものは、フランスの小説家・ルサージュ Alain Rene Lesage 1668-1747 の「ジル・ブラース」 L’Hisoire de Gil Blas de Santillane (1715-1735) からの引用です。引用好き・エルガーの面目躍如たるところでしょうか。
スレッドとは関係ありませんが、ヴァイオリン協奏曲は第3楽章にカデンツァ(アカンパニャータ)という伴奏付きカデンツァがありまして、ここの伴奏が弦楽器による「ピチカート・トレモランド」という特殊な奏法が使われることで有名です。簡単に言えばピチカートでトレモロを弾くらしいのです。らしい、というのは見たことがないから・・・。これはエルガーの発明したものだそうです。バルトーク・ピチカートと共に、近年発明された新奏法でもあります。
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なるほど。ではこれを参考にして聴いてみましょうか。
火曜日はマエストロから直接お話を伺えるし、何か新しい話題が出てくるかもしれません。
前回はウォルトン卿について、エッ、という逸話が聴けましたしね。
是非知りたいのはピチカート・トレモランドの奏法ですな。話題に出ないようだったら質問しちゃおうかな。
とは言っても、水曜日は晴海で室内楽があるし、レコードなぞ聴いている時間はないぞ・・・。急がなきゃ。
そうそう、来年のスケジュールはまだほとんどのオケから発表されていないけれど、読響は尾高マエストロが第2交響曲を演奏してくれますね。
東響も噂を聞く限りでは、大友直人氏が同じく第2と、最近ペインによって補筆完成された「威風堂々第6番」という珍品が聴けるらしい。行かねば。
更に我がクァルテット・エクセルシオは、来年のラボでエルガーの弦楽四重奏曲をメインに据えてくれる。これ必聴。
海外に目を転ずれば、ライプチヒのゲヴァントハウス管弦楽団が1月にエルガーを含むプログラムを二つ披露するようです。
一つはリチャード・ヒコックスの指揮で第1交響曲。
もう一つは広上淳一の指揮で「南国にて」とエニグマ変奏曲。こちらの回ではメンデルスゾーンの序曲「静かな海と楽しい航海」も併せて演奏されます。中々にくいプログラムだと思いません?
理由は言わなくても判るでしょうが。
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