またしてもダフネ
産経新聞は週一回、日曜日に音楽欄を設けています。大概は参考にもならない記事ばかりですが、今日は先日のダフネ評が出ていました。評者は東条碩夫氏。
音楽評論家の書く文章は矢鱈に難しい言葉を並べ立て、抽象的な表現で誉めているのか貶しているのか判らないものが多いのですが、東条氏が書かれるものは明快で、かつ私の感性に近いものがあるので、最も信頼している方です。
批評家というと海外の来日ものが専門で、日本人の演奏家や団体の演奏会には足すら運ばない輩が多い中で、氏は、国内演奏家のこれはと思うコンサートでは必ず姿を見掛けますし、その評も厳しい中に暖かさが感じられます。
で、ダフネはというと、絶賛調ではないにしても、非常に高い評価を与えていますね。私の感想とも近くて、私自身も自分の耳と目に多少の自信を持ったのであります。
要約すれば、演出と振付に大島さんを起用したことが当を得たもので、話題の一つであったこと。
演技面では新機軸を生み出す段階までは行かなかったものの、舞台に快い彩を与えていたこと。
ダフネ浄化の場でもっとスペクタクルな効果があり、ダンスがもっとドラマに積極的な役割を与えたならという留保はあるものの、ドイツ系オペラに斬新な手法を取り入れている二期会の姿勢は評価に値すること。
特筆すべきは若杉と東フィルの演奏で、変容の場では甘美な陶酔を存分に溢れさせていたこと。
Aキャストの歌手陣も我が国声楽界の力量を示すものであったこと。
日本人キャストのみでも充実した上演が可能だという若杉氏の提言を実証した、と結んでいます。
更に、ダフネのような珍しい作品がこれほど観客を集める東京のオペラ界にも感心していましたね。
全く氏の言われるとおりでしょう。
若杉氏は新国立劇場の芸術監督として活動を開始しますが、私もそろそろ新国復帰を考える時が来たのだと思います。
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