古楽器による運命と幻想

8月9日のプロムスは、古楽器ファンにはロンドンに出掛けてでも聴きたかったコンサートでしょう。

8月9日 ≪Prom 33≫
ベートーヴェン/交響曲第5番
     ~休憩~
ベルリオーズ/幻想交響曲
 オルケストル・レヴォリューショネール・エ・ロマンティーク
 指揮/ジョン・エリオット・ガーディナー

ガーディナーは先日のモンテヴェルディ/オルフェオに続く登場。自身が1990年に結成した古楽器グループとの勝負プログラムで、既にCDやDVDにも収録している天下の名曲を並べました。

作品についても演奏に付いても特に触れることも無いでしょう。古楽好きには堪えられないでしょうが、私は紛れもないアンチ古楽器系ですから、一度聴けばそれで十分。昔、友人の古楽器系演奏ファンに「食わず嫌いだ」と指摘されましたが、今回もチャンと聴いた上でのアンチです。
それでもいくつか気が付いた点。もちろん両曲ともスコアに書かれている繰り返し記号は全て忠実に実行しています。それだけではなく、ベートーヴェンの第3楽章はスケルツォとトリオをリピートし、全体として5部形式で演奏していました。ベートーヴェンが出版社との遣り取りで文句を言ったという個所ですね。モダン・オケではマズアが嚆矢と聴きましたが、それより前に渡邉暁雄が日フィルで実行したのを聴いたことがあります。

ベルリオーズではチューバでなく、サーペントを使っている由。事前にメンバーが紹介していました。また解説によると、チェロ以外は全員が立って演奏する団体だそうで、古楽ファンには改めて指摘するまでも無いのでしょう。

個人的な感想では、やはりガーディナーはバッハ辺りまで。モンテヴェルディは文句のつけようがありませんが、ベートーヴェンは漫画チックだし、ベルリオーズはご愛嬌、か。それにしても幻想3楽章クライマックスの後のチェロだけのレ♭、何でグリッサンドで滑るの? 古楽器ではこういう風にしか演奏できないのかしら?

 

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