神無月

10月も残り少なくなってきたので、これだけは書いておきたいと思います。
神無月のこと。

10月の古名は「神無月」というのは誰でも知っていると思うけれど、語源となるとどうでしょうか。

よく聞かされるのは“10月は出雲大社に神様が集まってしまうので、その他の社に神様が居なくなってしまうから”というのですね。
何年か前に出雲を旅行したけれど、どこへ行ってもその話ばっかり。3月の旅行でさえそうだったのだから、10月に行こうものなら神無月の語源ばかりが話題になるのでしょう。

ところが全く別の説があるのです。音楽に関係のある説。

今はどうなっているのか知りませんが、昔、雅楽では「十二律」というものがあって、西洋音楽の平均律に相当するC-C♯-D-D♯-E・・・という音階の一つ一つに音名を付けていたのです。

それが丁度12ありますから、12の月に当て嵌められるのですよ。
で、10に相当するのが「神無」(かんむ)という律になるわけです。それから転じて10月=神無月になったという説があります。

どうもこの方が出雲の主張よりは説得力がある。
日本の音楽の権威、田辺尚雄氏の「日本音楽講話」という書物に出ているそうですが、まだ探しておりません。

いわゆる西洋クラシック音楽の起源は古代ギリシャにある、というのが私などが昔から教わってきたことなのですが、実はギリシャ以前というのがあって、それは東洋から伝わったものなのだそうです。
西洋で書かれたクラシック音楽の起源は皆ギリシャということになっているのは、実は東洋から伝来したもので、と書いては都合が悪いからなのでしょう。

戦前から日本の青少年にクラシック音楽を紹介してきたエロイーズ・カニングハムさんは、“西洋音楽はもともと東洋から来たものだ”と言い、“その証拠として、全てのギリシャ音楽の楽譜がアジア風な名前を持っていること、形式がアジア諸国に由来していること、西洋音楽楽器の大部分はアジアから来たもの・・・”などと書き残しているのですね。

先般アルブレヒト氏があるコンサートのプレ・トークで、オーケストラの最も古いものは唐の宮廷楽団だ、ということも紹介していました。

私はこれらの説を感心して聞くばかりなのですが、いずれはこの分野も詳しく探ってみようと思います。
神無月が去るにあたって、ふと、思い当たりました。

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