プロムス室内楽シリーズはカドガン・ホール

プロムスはオーケストラの祭典として知られていますが、室内楽の演奏会もいくつか行われます。プロムスの本体に組み込まれて≪Prom≫の番号が付けられている室内楽は、例えばオケの演奏会が終わった後に夜11時から1時間ほどのコンサートがロイヤル・アルバート・ホールの大空間で開催されたりもします。この場合は超有名アーティストが登場するケースが多いようです。
それとは別に室内楽を専門とするカドガン・ホールで≪PCM≫(Proms Chamer Music の略)番号が振られるシリーズもあって、こちらはアルバートホールとは違ってコアな室内楽ファンが集まるようです。演奏時間も1時間以内に収まるのがほとんどで、BBCでは名物番組でもある午後1時からの「ランチタイム・コンサート」の時間にナマ放送されます。もちろん放送から30日間は何時でも視聴可能なのは、本体のプロムスと同じ。

ということで現地時間7月18日の月曜日(PCMは毎週月曜日に行われる)に≪PCM1≫として以下の演奏会が行われました。

ドビュッシー/チェロ・ソナタ
 チェロ/ビョルグ・ルイス Bjorg Lewis
 ピアノ/ポール・ルイス Paul Lewis
デュティユー/弦楽四重奏曲「夜はかくのごとく」
 ヴェルターヴォ・クァルテット Vertavo Quartet
モーツァルト/ピアノ協奏曲第12番イ長調K414
 ピアノ/ポール・ルイス
 ヴェルターヴォ・クァルテット

演奏会はコメンテイターの司会進行で行われます。この日はペトロック・トレローニー Petroc Trelawny という人が担当していました。
2曲目に演奏されたデュティユーは、今年生誕100年を迎えるアニヴァーサリー作曲家で、プロムスでは毎年アニヴァーサリー作曲家のシリーズが組まれます。本体でもいくつかの作品が取り上げられる予定ですが、弦楽四重奏曲はその第一弾。ヴェルターヴォの緻密な名演で披露されました。

最後のモーツァルトはピアノ五重奏曲用にアレンジされたもの。最近はベートーヴェンやショパンのピアノ協奏曲をこの形で演奏することが盛んですが、モーツァルトを聴いたのは初めてでした。
K414の原曲は弦5部にオーボエ2、ホルン2というオーケストレーションですから、クァルテットだけが伴奏するのは極めて自然。弦5部といってもチェロとコントラバスは同じパートのユニゾンですから、正に弦4部。

ピアノ・ソロによるカデンツァ、モーツァルトは自作として2種類のものを残していますが、ルイスは各楽章共より簡潔で短い方を選択していました。

 

 

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