プロムスのミュンヘン・フィル
今日のプロムス・レポートは2本目です。先にアップしたカドガン・ホールの≪PCM1≫と同じ日の夜に行われたミュンヘン・フィルの演奏会を聴きましょう。
例えば現地で実際にプロムスを聴いたとしても、同じメニューを選択するかも。午後1時から始まるカドガン・ホールの会を聴くためにスローン・スクエアに出掛け、コンサートの後は近くのカフェかレストランで軽い昼食。
そのあとは例えば自然史博物館などをブラついて時間を潰し、やおらロイヤル・アルバートホールのあるサウス・ケンジントンかナイツブリッジに移動。立見席で聴きたいならチョッと早目に並んで当日券をゲット、という具合でしょう。
自宅でパソコンの前に座りながら、ロンドンをイメージしてプロム4を楽しみました。
7月18日 ≪Prom 4≫
ラヴェル/ボレロ
ラフマニノフ/ピアノ協奏曲第3番
~休憩~
ウストヴォルスカヤ Ustvolskaya/交響曲第3番「イエスよ、我等を救い給え」 Symphony No. 3, ‘Jesus Messiah, Save Us!’
リヒャルト・シュトラウス/「バラの騎士」組曲
ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団 Munich Philharmonic Orchestra
指揮/ヴァレリー・ゲルギエフ Valery Gergiev
ピアノ/ベゾッド・アブドゥライモフ Behzod Abduraimov
語り/アレクセイ・ペトレンコ Alexei Petrenko
ミュンヘン・フィルはケンぺ、チェリビダッケ、レヴァイン、ティーレマンなどが歴代首席指揮者を務めてきましたが、2年前にマゼールが急逝。去年からはゲルギエフがその任に就いたようですね。今回はゲルギエフの指揮。
ゲルギエフ、日本では「ワレリー」、あるいは「ヴァレリー」ゲルギエフと読まれているようですが、BBCのコメンテイターの発音ではどうしても「ヴァリエリ」ゲルギエフと聞こえてしまいます。ボクの耳が悪いのかな。ま、どうでもいいことですけど・・・。
それにしても今回のプログラム、いきなりボレロが開始というのが凄いですね。最後はボレロで締め、というのは良くありますが、ボレロからというプログラムは初めて見ました。弦楽器は対抗配置に並べられているようで、ゲルギーの唸り声もあって大熱演。
次のラフマニノフでソロを弾くアブドゥライモフという人は今回がプロムス・デビュー。2009年にロンドンの国際ピアノ・コンクールで優勝した人で、今年26歳とのこと。ウズベキスタンのタシケント生まれだそうです。日本では既に東京交響楽団と共演しているそうですね。
私は初めて聴きましたが、とにかく巧い。完璧なテクニックと自信に満ちた表現力に圧倒されてしまいました。ラフマニノフの第3協奏曲には歴史的録音がいくつもあって、自作自演にしてもホロヴィッツにしても、カットの巣窟の様な観を呈しています。最近ではオリジナル通りカット無しで演奏するのが不通ですが、今回アブドゥライモフは第3楽章、練習番号52の第3小節から練習番号53の終わりまでをカットしてました。自作自演とホロヴィッツも同じですね。
また第1楽章の2種類あるカデンツァは、ギーゼキングやアシュケナージと同じく難しい方を選択してます。ここはラフマニノフやホロヴィッツと違う点。
http://www.behzodabduraimov.com/
喝采の後すぐさまアンコール。リストの定番ラ・カンパネラでしたが、有名なFFとは対照的な演奏でした。
後半最初のウストヴォルスカヤ作品は、今回がプロムス初演。彼女の交響曲は確か5曲?あって、どれも声を伴うのが特徴。第1番は二人の子供の声が使われています。
第3番も声が登場しますが、歌ではなくロシア語による語り。ドスの効いた声で担当するペトレンコ氏もプロムス・デビューだそうです。ウストヴォルスカヤ独特の重~いオーケストレーションで、演奏時間14分ほどの作品。これが交響曲と言われても私にはピンと来ません。客席の反応も比較的静かだったのは、私と同じ感想を持った人が多かったのかも。シコルスキからスコアも出ていますが、敢えて買う気にはなりませんでした。作品に付いての情報はこちら↓ スコア本体を閲覧することも出来ますが、語りのパートなどは今回とは違っているような・・・?
最後はシュトラウスの華やかなオペラからの組曲で締め。ブージーから出ている通称ロジンスキー版です。華麗な演奏でしたが、私にはプログラム前半の方が楽しめました。
アンコールもあって、ベルリオーズのラコッツィ行進曲。
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