ハンス・ロット/交響曲(4)
今回は、ロットについて日本語で比較的簡単に読める(どれも翻訳ですが)書籍を紹介しておきます。
先ず、アンリ=ルイ・ド・グランジュ著「グスタフ・マーラー」(草思社)はマーラー評伝ですが、ここにはブラームスがロットを自殺にまで追いやったことで、マーラーがブラームスを敵対視していた事実が紹介されています。マーラー自身もベートーヴェン賞受賞に関してブラームスから拒絶されたことがあったようです。
また、アルフォンス・ジルバーマンは「グスタフ・マーラー事典」(岩波書店)の中にハンス・ロットという一項目を設けております。ここにはマーラーがロットの交響曲をウィーンで演奏すべく検討するためにウィーン国立図書館から楽譜を借り出したことが載っております(沼尻氏が言う、マーラーがロットの作品を知っていた動かぬ証拠、ですね)。
更に先稿で紹介した「一本の木になった二つの果実」というマーラーの言葉も掲載されております。
更に、バウアー=レヒナーの「回想録」(音楽の友社)にもマーラーとロットについての記載があるようですが、これはまだ実物を見る機会を得ていません。
柴田南雄氏のマーラーに関する著作では、残念ながらロットについては触れられておりません。氏は「グスタフ・マーラー事典」の監修を担当していますからロットを知らなかったとは考え難いのですが、知っていたとしても取り上げるほど重要ではないと思われたのかも知れません。ただマーラーがそのオペラ上演を拒絶したことがヴォルフ発狂の遠因になったことは紹介されております。
以上の書籍が現在も書店で入手できるのか否かは判りません。私は日比谷図書館で時間を見つけて立ち読み致しました。貸し出しを受けて通読すればよいのですが、読書に集中できる時間も無く、摘み食いにならざるを得ませんでした。
時間も関心もお持ちの方は是非これらの書物を一読されることをお薦めします。
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