オブライエンの週末
昨日の日曜日、フランスとアイルランドで注目を集めたレースの結果が入ってきました。アイルランドを拠点とするエイダン・オブライエン師にとっては嬉しい週末。
このところオブライエン厩舎がパッとしませんでした。特に今年のクラシックを狙う3歳が。師によれば、特に今年の産駒の血統的レヴェルが落ちているわけではないそうで、ツキがないような気がします。
この週末、アイルランドではマイナーな部類に属するナヴァン Navan 競馬場で長距離のリステッド・レース、ヴィンテージ・クロップ・ステークスが行われました。1マイル5ハロンですから、2600メートルほど。
これが注目されたのは、オブライエン厩舎の長距離スター、イェーツ Yeats が出走してきたから。去年、一昨年とアスコット・ゴールド・カップを連覇した名馬ですね。
イェーツにとってシーズン緒戦、無事に勝利で飾りました。主戦のムルタくんがロンシャンに遠征しているため、騎乗したのはへファーナンです。
イェーツは去年もこのレースからスタートしています。去年は2着に11馬身という大差を付けたのですが、今年は4分の3馬身。レッド・モロニー Red Molony の追撃を受けあわや、という場面もあったのですが、最後は格の違いを見せ付けた形ですね。やや不安を残したようにも見えますが、へファーナンによれば、去年と同じさ、ということ。アスコット3連覇へのオッズは2対1で変わらず、ということになっています。
さて主戦騎手・ムルタが遠征したのはロンシャン競馬場。昨日はパターン・レースが3鞍行われました。まずGⅢの二つ。
ヴァントー賞(Prix Vanteaux、GⅢ、3歳牝、1850メートル)は、アンドレ・ファーブル厩舎が今年のクラシックに期待するプロヴィーゾ Proviso が注目されましたが、何と3着敗退。勝ったのは伏兵、ベル・アリュア Belle Allure でした。2着はウエイト・アンド・シー Wait And See 。
距離が伸びて良いはずのプロヴィーゾ、最後の1ハロンで脚が止まってしまったようです。
ファーブル師と騎手ステファン・パスキエにとって慰めになったのは、バルベヴィユ賞(Prix de Barbeville 、GⅢ、3100メートル)でのコースタル・パス Coastal Path の勝利。
コースタル・パスはまだ4歳ながら、5戦無敗だと思います。典型的なステイヤーで、兄弟も全て3000メートルを勝っており、コースタル・パス自身も3000メートルは既に2勝。イェーツの天敵になる可能性大ですね。
さて週末のロンシャン、何と言っても注目を集めたのは、今年ヨーロッパで行われる最初のGⅠ戦、ガネー賞 Prix Ganay です。2100メートル、中距離路線のスタートに当たります。
去年のこのレース、ディラン・トーマスが快勝して凱旋門賞まで毎月のようにGⅠに勝ったのは記憶に新しいところ。
今年もオブライエン厩舎が新星を送り込んできました。ムルタ騎乗のデューク・オブ・マーマレイド Duke of Marmalade 。ドイツから参戦してきたサデックス Saddex の追い込みを半馬身押さえ、ディラン・トーマスに続きます。フランスの期待、ザンベジ・サン Zambezi Sun は6頭立て6着に惨敗。
デューク・オブ・マーマレイドは今年4歳。オブライエン厩舎では古馬のエース格です。実はこの馬、2歳の時につなぎの部分を骨折し、ボルトが2本埋まっているんですね。これだけの故障を経験した馬としては奇跡的にトップクラスに成長し、去年は6戦、勝てなかったものの全てで入着を果たしています。復習しておきましょうか。
①2000ギニー コックニー・レベルの4着。
②愛2000ギニー これもコックニー・レベルの4着、着差は共に2馬身。
③セント・ジェームス・パレス・ステークス エクサレント・アートの2着、コックニー・レベルに先着。
④ヨーク・インターナショナル オーソライズドの4着、初めて2000メートルを経験。
⑤アイリッシュ・チャンピオン ディラン・トーマスの2着。
⑥クイーン・エリザベスⅡ エクサレント・アートの3着。
タイムフォームのレーティングは124、まだまだ伸びるタイプと評価しています。この冬、古傷を再度手術し、これまで以上に順調な調教が進められている由。昨年のディラン・トーマスと同じ軌跡を歩むのか・・・。大いに注目すべき1頭です。
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