ザロメ

今日からメット・ライブビューイング 2008-2009がスタートするというので、川崎のラゾーナにある映画館で見てきました。
第1弾はリヒャルト・シュトラウスの「サロメ」。今日から11月7日までの毎日、札幌から福岡まで全国10箇所で上映されます。ただし京都(MOVIX京都)だけは11月22日から11月28日まで。
今週はいろいろ立て込んでいるので、初日を選びました。上映時間が一番早いのが川崎ラゾーナにある109シネマズ川崎。午前11時開演です。銀座の東劇は夕方から、まだこれからですね。
別に我先に見たかったからじゃありませんよ、単純に川崎が近いから。誤解しないように。
先日のピーター・グライムズの調子でスイスイ入れるかと思ったら大間違い。5階の映画館に着くと、チケットを購入するのに長蛇の列。間に合うのかぁ~。
ここは上映館が全部で10館あり、他では一般に人気の映画もかかっています。「崖の上のポニョ」というのが人気のようですが、列は列。並ばなきゃなりません。おまけに3連休の初日、チョッと甘かったかな。
それでも何とか時間には間に合い、指定席に着きます。オペラなど見る人はさすがにマイナー。客席は疎らと言ってもよいでしょうか。20~30人くらいですかね。
東劇と違って、ここは客席数は少ないのですが、全て階段状に席が並んでいますから銀座よりはるかに見易い。音響設備は似たようなものですから、余程の用事でもない限り、これからはここで決まりでしょう。
肝心のサロメ、見応えありましたね。主なキャストはこういう顔ぶれです。
サロメ/カリタ・マッティラ
ヨカナーン/ユーハ・ウーシタロ
ヘロディアス/イルディコ・コムロージ
ヘロデ/キム・べグリー
ナラボート/ジョゼフ・カイザー
指揮/パトリック・サマーズ
演出/ユルゲン・フリム
ライブと言っても基本的には映画ですから、細かい点には触れません。
それにしても、マッティラの大熱演には圧倒されました。
サロメには幕間はありませんから、舞台裏インタヴューは開演前の僅かな時間。デヴォラ・ヴォイトがインタヴュアーで、本番直前のマッティラのピリピリした緊迫感が伝わってきます。
サロメはびわ湖ホールの公演を観てきたばかりですが、メットのはずっとオーソドックスな演出。踊りもありますし、生首も出ます。
最後はマッティラが口の周りを真っ赤にして、ヨカナーンの唇にむしゃぶりつくのです。
これがオーソドックスな演出というもので、全てにリアルで、説得力に富む舞台。
作品自体が革新的な内容を持っているので、保守的な演出でも、というより返ってオーソドックスな演出の方が、音楽に集中できるというのが私の考えです。
ヴェールの踊りも、マッティラ自身が身体を張ります。ただし、最後の一瞬はカメラ・アングルを工夫して、映画館では見せません。見なくていいと思います。
日本人だけの公演に比べれば、当然ながら全体に「肉付き」が豊か。こういうキャストに日本人が一人加われば違和感を感じてしまうでしょうし、日本人の中でマッティラ/サロメ一人が歌っても、アンバランスは免れないでしょう。要はバランス。
見終わった感想をたった一言で表せば、濁らずに「サロメ」とせずに、「ザロメ」と発音した方が相応しい公演。
次回は11月29日から始まる「ドクター・アトミック」。平日の空いた時間にする予定です。

 

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