ジョージ・セル指揮ニューヨーク・フィル(2)

ジョージ・セル指揮ニューヨーク・フィルのプログラムの2回目。今回は第3回サマー・シーズンと第104、105シーズンのプログラムです。
セルは第2回サマー・シーズンには登場しませんでした。サマー・シーズンそのものは3回で打ち切られています。

《第3回サマー・シーズン》
1945年6月17日 カーネギーホール
 ベートーヴェン/「プロメテウスの創造物」序曲
 ベートーヴェン/ピアノ協奏曲第3番
 ベートーヴェン/交響曲第8番
   指揮/ジョージ・セル
   ピアノ/アルトゥール・シュナーベル

1945年6月24日 カーネギーホール
 モーツァルト/交響曲第40番
 ブラームス/交響曲第2番
  指揮/ジョージ・セル

1945年7月8日 カーネギーホール
 ドヴォルザーク/スラヴ舞曲第3、10、1番
 スメタナ/モルダウ
 ドヴォルザーク/交響曲第9番
  指揮/ジョージ・セル

1945年7月15日 カーネギーホール
 ウェーバー/歌劇「魔弾の射手」序曲
 モーツァルト/2台ピアノと管弦楽のための協奏曲
 メンデルスゾーン/交響曲第4番
  指揮/ジョージ・セル
  ピアノ/ピエール・ラボシュッツ、ジェニア・ネメノフ

  
《第104シーズン》
1945年11月1・2日 カーネギーホール
 モーツァルト/交響曲第41番
 シェーンベルク/管弦楽のための主題と変奏 作品43-B
 R.シュトラウス/ドン・キホーテ
  指揮/ジョージ・セル
  チェロ/レナード・ローズ
  ヴィオラ/ウイリアム・ランサー

1945年11月3日 カーネギーホール
 モーツァルト/交響曲第41番
 シェーンベルク/管弦楽のための主題と変奏 作品43-B
 シュティル/「イン・メモリアム、民主主義のために死した黒人兵士の思い出に」
 ワーグナー/ジークフリート牧歌
 ワーグナー/歌劇「タンホイザー」序曲
  指揮/ジョージ・セル

1945年11月4日 カーネギーホール
 モーツァルト/交響曲第41番
 ワーグナー/歌劇「タンホイザー」序曲
 R.シュトラウス/ドン・キホーテ
  指揮/ジョージ・セル
  チェロ/レナード・ローズ
  ヴィオラ/ウイリアム・ランサー

1945年11月8・9日 カーネギーホール
 ベートーヴェン/レオノーレ序曲第2番
 ベートーヴェン/ピアノ協奏曲第1番
 ベートーヴェン/交響曲第8番
  指揮/ジョージ・セル
  ピアノ/クラウディオ・アラウ

1945年11月10日 カーネギーホール
 ベートーヴェン/レオノーレ序曲第2番
 ベートーヴェン/交響曲第8番
 ストラヴィンスキー/「火の鳥」組曲
 ラヴェル/ラ・ヴァルス
  指揮/ジョージ・セル

1945年11月11日 カーネギーホール
 ベートーヴェン/「プロメテウスの創造物」序曲
 ベートーヴェン/ピアノ協奏曲第1番
 ベートーヴェン/交響曲第8番
  指揮/ジョージ・セル
  ピアノ/クラウディオ・アラウ

1946年1月31日、2月1日 カーネギーホール
 ベルリオーズ/「ローマの謝肉祭」序曲
 ブラームス/交響曲第3番
 バルトーク/管弦楽のための協奏曲
  指揮/ジョージ・セル

1946年2月2日 カーネギーホール
 ドヴォルザーク/スラヴ舞曲第1、3、10番
 グラズノフ/ヴァイオリン協奏曲
 ベルリオーズ/「ローマの謝肉祭」序曲
 ブラームス/交響曲第3番
  指揮/ジョージ・セル
  ヴァイオリン/マイケル・ローゼンカー

1946年2月3日 カーネギーホール
 ブラームス/交響曲第3番
 グラズノフ/ヴァイオリン協奏曲
 バルトーク/管弦楽のための協奏曲
  指揮/ジョージ・セル
  ヴァイオリン/マイケル・ローゼンカー

《第105シーズン》
1946年12月12・13日 カーネギーホール
 ベートーヴェン/「エグモント」序曲
 ベートーヴェン/ピアノ協奏曲第3番
 ベートーヴェン/交響曲第3番
  指揮/ジョージ・セル
  ピアノ/クラウディオ・アラウ

1946年12月15日 カーネギーホール
 ワーグナー/歌劇「タンホイザー」序曲
 リスト/ピアノ協奏曲第2番
 ベートーヴェン/交響曲第3番
  指揮/ジョージ・セル
  ピアノ/クラウディオ・アラウ

1946年12月16日 ホテル・プラザ
 スメタナ/歌劇「売られた花嫁」序曲
 モーツァルト/ホルン協奏曲第3番
 ビゼー/「アルルの女」第1組曲
 シューベルト/「ロザムンデ」間奏曲とバレエ音楽
 ヨハン・シュトラウス/円舞曲「美しく青きドナウ」
  指揮/ジョージ・セル

1946年12月19日 カーネギーホール
 モーツァルト/フリーメーソンの葬送音楽
 ウェーバー/歌劇「魔弾の射手」序曲
 デロ ジョイオ/ピアノと管弦楽のためのリチェルカーレ
 シベリウス/交響曲第3番
 ベートーヴェン/交響曲第2番
  指揮/ジョージ・セル
  ピアノ/デロ ジョイオ

1946年12月20日 カーネギーホール
 ウェーバー/歌劇「魔弾の射手」序曲
 デロ ジョイオ/ピアノと管弦楽のためのリチェルカーレ
 シベリウス/交響曲第3番
 ベートーヴェン/交響曲第2番
  指揮/ジョージ・セル
  ピアノ/デロ ジョイオ

1946年12月22日 カーネギーホール
 ウェーバー/歌劇「魔弾の射手」序曲
 グラズノフ/ヴァイオリン協奏曲
 シベリウス/交響曲第3番
 ベートーヴェン/交響曲第2番
  指揮/ジョージ・セル
  ヴァイオリン/デーヴィッド・ナディーン

《1947年スプリング・ツアー》
1947年4月29・30日、5月1・2日 別記
 ワーグナー/歌劇「ローエングリン」前奏曲
 ワーグナー/楽劇「トリスタンとイゾルデ」前奏曲と愛の死
 ワーグナー/歌劇「タンホイザー」序曲
 ブラームス/交響曲第2番
  指揮/ジョージ・セル

     *****

第3回サマー・シーズンは4月22日から8月12日まで。セルの他、フリッツ・ライナー、ブルーノ・ワルター、ユージン・オーマンディ、アルトゥール・ロジンスキー、ディミトリ・ミトロプーロスが交替で登場しています。
セルとモーツァルトの2台ピアノ協奏曲を演奏した二人、Pierre Luboshutz と Genia Nemenoff については詳細不詳です。

45年11月3日に演奏したシュティル William Grant Still は、1895年にウッドヴィルに生まれ、1978年にロサンジェルスで没したアメリカの黒人作曲家。指揮者でもあり、ヴァイオリン、チェロ、オーボエも演奏しました。1920年代にはブロードウェイでポール・ホワイトマンのバンドでアレンジャーとして活躍し、ミュージカルやラジオ・ショーでも知られています。作品には、当然ながら黒人を主題にしたものが多く、セルが取り上げた作品の他にも「アフロ-アメリカン交響曲」が知られています。

46年11月に取り上げたデロ ジョイオ Norman Dello Joio は1913年にニューヨークで生まれたニューヨーカー。作曲だけでなくピアノとオルガン演奏にも長けた人で、ここで演奏されたリチェルカーレでは自らピアノ・ソロを担当しています。幼少の頃にグレゴリオ聖歌とイタリア・オペラに影響を受けたというだけあって、前衛というよりはメロディックな作風が特徴。未だ現役、のはず。

1947年の春、珍しくセルはニューヨーク・フィルのツアーに同行しています。同じプログラムで4箇所。4月29日はテネシー州メンフィス、30日がケンタッキー州のルイヴィル、5月1日はミズーリ州セントルイス、2日がイリノイ州のシカゴでした。
このツアーはセル一人で振ったのではなく、レオポルド・ストコフスキー(11回)、ユージン・オーマンディ(4回)、ディミトリ・ミトロプーロス(9回)とで分担しています。正に全米ツアー。

 

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