ジョージ・セル指揮ニューヨーク・フィル(6)
6年ほどのブランクの後、ジョージ・セルはニューヨーク・フィルの指揮台に戻ってきます。
これまでの不在の間のオーヴァーホールをするかの如く、オール・ベートーヴェン・プログラムを2回続けて開催しているのが目を惹きますね。
2シーズン分のプログラムを紹介します。
《第121シーズン》
1963年2月28日、3月1・2・3日 フィルハーモニックホール
ベートーヴェン/「エグモント」序曲
ベートーヴェン/ピアノ協奏曲第5番
ベートーヴェン/交響曲第2番
指揮/ジョージ・セル
ピアノ/クリフォード・カーゾン
1963年3月7・8・9・10日 フィルハーモニックホール
ベートーヴェン/「プロメテウスの創造物」序曲
ベートーヴェン/ピアノ協奏曲第3番
ベートーヴェン/交響曲第3番
指揮/ジョージ・セル
ピアノ/ルドルフ・フィルクスニー
1963年3月14・15・16・17日 フィルハーモニックホール
ワーグナー/歌劇「ローエングリン」前奏曲
ベートーヴェン/ピアノ協奏曲第1番
シューマン/交響曲第3番
指揮/ジョージ・セル
ピアノ/レオン・フライシャー
1963年3月21・22日 フィルハーモニックホール
ブラームス/悲劇的序曲
チャイコフスキー/ヴァイオリン協奏曲
ブラームス/交響曲第3番
指揮/ジョージ・セル
ヴァイオリン/エリカ・モリーニ
1963年3月23・24日 フィルハーモニックホール
ブラームス/悲劇的序曲
ブルッフ/ヴァイオリン協奏曲第1番
ベルリオーズ/「ローマの謝肉祭」序曲
ブラームス/交響曲第3番
指揮/ジョージ・セル
ヴァイオリン/エリカ・モリーニ
《第122シーズン》
1963年11月21日 フィルハーモニックホール
ベートーヴェン/序曲「レオノーレ」第3番
ベートーヴェン/ピアノ協奏曲第4番
ベートーヴェン/交響曲第5番
指揮/ジョージ・セル
ピアノ/ロベール・カサドシュ
1963年11月22日 フィルハーモニックホール
ベートーヴェン/序曲「レオノーレ」第3番
指揮/ジョージ・セル
1963年11月23・24日 フィルハーモニックホール
ベートーヴェン/交響曲第3番~第2楽章
ベートーヴェン/ピアノ協奏曲第4番
ベートーヴェン/交響曲第5番
指揮/ジョージ・セル
ピアノ/ロベール・カサドシュ
1963年11月28・29日 12月1日 フィルハーモニックホール
バイルド/管弦楽のための4つのエッセイ
チャイコフスキー/ピアノ協奏曲第1番
ドヴォルザーク/交響曲第8番
指揮/ジョージ・セル
ピアノ/レフ・オボーリン
1963年12月5・6・7・8日 フィルハーモニックホール
バッハ/管弦楽組曲第3番
メンデルスゾーン/ヴァイオリン協奏曲
シューマン/交響曲第2番
指揮/ジョージ・セル
ヴァイオリン/エリカ・モリーニ
1963年12月12・13・14・15日 フィルハーモニックホール
ハイドン/交響曲第93番
リスト/ピアノ協奏曲第2番
ドビュッシー/牧神の午後への前奏曲
ドビュッシー/海
指揮/ジョージ・セル
ピアノ/ジャン=マリー・ダール
1964年3月12・13・15日 フィルハーモニックホール
ルトスワフスキ/弦楽オーケストラのための葬送音楽
モーツァルト/歌劇「羊飼いの王様」~アリア“Aer tranquillo”
モーツァルト/歌劇「イドメネオ」~アリア“そよ吹く風”
モーツァルト/モテット「踊れ、喜べ、汝幸いなる魂よ」K165
ブラームス/交響曲第2番
指揮/ジョージ・セル
ソプラノ/マリア・シュターダー
1964年3月19・20・21・22日 フィルハーモニックホール
モーツァルト/アイネ・クライネ・ナハトムジーク
ショスタコーヴィチ/チェロ協奏曲(第1番)
R.シュトラウス/ドン・キホーテ
指揮/ジョージ・セル
チェロ/ピエール・フルニエ
ヴィオラ/ウイリアム・ランサー
1964年3月26・27・28・29日 フィルハーモニックホール
ワーグナー/楽劇「パルシファル」前奏曲と聖金曜日の音楽
ブルックナー/交響曲第7番
指揮/ジョージ・セル
1964年4月2・3・4・5日 フィルハーモニックホール
メンデルスゾーン/「真夏の夜の夢」序曲
シューマン/ピアノ協奏曲
メニン/一楽章による交響曲第7番(変奏交響曲)
ラヴェル/「ダフニスとクロエ」組曲第2番
指揮/ジョージ・セル
ピアノ/クロード・フランク
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この6年間で、ニューヨーク・フィルの定期演奏会場がカーネギーホールからフィルハーモニックホールに変わりました。
定期のスタイルも同一プログラムを4日間通して行うのが基本となり、以前のように一部の曲目を取り替えて曜日に合わせたプログラム、というのは影を潜めています。
1963年11月の最初のプログラムが他とは異なっているのにお気付きでしょう。
察しの良い方は直ぐに気が付かれたでしょうが、11月22日のコンサート、予定されていた前日のプログラムから最初の序曲だけが演奏されて、後半は取り止めになったようです。
そう、この日の現地時間12時30分、ダラスでケネディー大統領が銃弾を受けて暗殺されました。次の二日間は、序曲の代わりにベートーヴェンの「葬送行進曲」が演奏され、大統領の突然の死を悼んだのでした。
1964年4月に取り上げたペーター・メニン Peter Mennin (1923-1983)は、ペンシルバニア州のエリーで生まれ、60才でニューヨークに没したアメリカの作曲家。ジュリアードで学び、後にはそこで教鞭も取っていました。
交響曲は9曲! 残されていますが、第4番は「循環」という表題を持つ、合唱を含む大作です。
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