オンラインで梯子

今日は面白い経験をしましたね。9月に入って日本のオーケストラ界も常態に近づきつつありますが、そうなると困るのが、週末に集中する定期演奏会はどれに行くか、でしょ。
土日の場合には開演が2時から、3時から、4時から、5時から、6時から、7時からと色々あって、オーケストラ大好き人間はいつも悩まされてきましたよね。さすがに私は年なので昔のように演奏会の梯子はしなくなりましたが、コロナ以後はオンラインで案外簡単に二つ、三つと聴けちゃいます。9月26日はそんな一例を紹介しましょう。

この日は定期だけでも札響、東響、東京シティ、東フィル、日フィル横浜、セントラル愛知、大フィル、日本センチュリーと8団体もあり、定期ではないコンサートを加えれば更に多くなるはず。オーケストラも室内楽もオペラも、というマルチ・ファンにとって頭が痛いのが、週末のコンサート選びですね。
で、有難いことに東京シティ・フィルと東響がライブ配信をやってくれました。出掛けるのが億劫になった世代にとっては、特に今日のように雨が降り続いている時に電車で移動するのは辛いものがあります。もちろん音楽はナマで聴くに越したことはないけれど、ついつい安易な道を選んでしまったのでした。それがこれ。

14時から
東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
第336回 9月26日 東京オペラシティコンサートホール
バッハ(エルガー編)/幻想曲とフーガハ短調
ジョンゲン/オルガンと管弦楽のための協奏的交響曲作品81
     ~休憩~
フランク/交響曲ニ短調
 指揮/高関健
 独奏/福本茉莉
 コンサートマスター/戸澤哲夫
 
18時から
東京交響楽団
第683回 9月26日 サントリーホール
リャードフ/交響詩「魔法にかけられた湖」
ショスタコーヴィチ/ヴァイオリン協奏曲第1番
     ~休憩~
バルトーク/管弦楽のための協奏曲
 指揮/尾高忠明
 独奏/川久保賜紀
 コンサートマスター/グレブ・ニキティン

シティ・フィルはピア・ライブ・ストリームというチャンネルが配信する有料のコンサート、東響はニコニコ動画で流れる無料演奏会です。
無料のものは有難くクリック一つで拝聴するとして、シティ・フィルは事前に配信チケットを購入します。チケットぴあのホームページから会員登録を済ませ、コンサートを選択してクレジット決済。送られてきたメールで動画視聴URLを引き取るという方式です。ここはシティ・フィルの他に都響の演奏会も配信して実績がありますが、私は初体験でした。

先ずはシティ・フィル。配信は開演前30分から開始され、1時40分から行われた高関健によるプレトークも聞くことが出来ました。これが面白かった。演奏会のプレトークと言えば音楽評論家氏が登場して蘊蓄を披露してくれるのが一般的ですが、演奏家自身が語るのは視点が全く違います。この種のものは日本フィルのマエストロサロンが先駆者だったと思いますが、毎回目から鱗でしたね。今回の高関トークも誠に新鮮でした。
オンライン鑑賞ですから、演奏については触れません。この定期では珍しいジョンゲンの作品が聴けましたが、オペラシティのオルガンを捉えたカメラに目が釘付けになりました。これは流石にホールに足を運んでも見ることが出来ないでしょう。どうしてもナマでなくちゃ、と言う人も配信チケットを買って後からアーカイブ配信を楽しめば宜しい。

4時ちょっと過ぎに初台が終わり、赤坂へ移動します。京王新線で市ヶ谷に行き、メトロ南北線で溜池山王、というのが真っ先に思い浮かぶコースかな。
それでも30分は掛かるし、電車賃も400円くらい。東響が終わるのは8時頃でしょうから、間に何処かで夕飯を済ませてしまうのが無難。サントリーホールの近くで店を探し慌ててかっ込んでも、サントリーホールの開場時間ギリギリでしょうね。こんな忙しい思いをしてコンサートの梯子なんて、したくないなぁ~。

ということで、オンラインなら瞬間移動で赤坂へ。移動時間の間に仕事を二つ片付けてニコニコ・チャンネルに移動します。
ニコニコ動画は演奏中も画面にチャットが表示されます。これが煩わしいと感ずる人はチャット非表示ボタンをクリックすれば良いけれど、演奏前や休憩中はこれが結構楽しいもんです。クラシック初心者にはヘンな解説を読むより良いかもね。

サントリーホールが映し出されると、客席は市松模様じゃない。先日、クラシックの演奏会は座席制限が緩和されて100%で可となりましたが、真っ先に取り入れたのが東響でしょう。多分定期会員は全員自席で聴かれたのでしょうが、それでも空席が目立っていたのは、コロナを不安に感じて出掛けるのを躊躇っている人が多いからでしょうか。
聴き物は川久保賜紀のショスタコーヴィチ。これは素晴らしかった。チャットにも絶賛の声と『88888888』で画面が見えなくなるほど。

さてシティ・フィルは有料配信でしたが、視聴した人は30人前後。それに対して無料の東響は最終的には1万2千人が見ていましたね。更にはスパチャ(スーパーチャットのことで、いわゆる投げ銭)も引っ切り無し。
ライブ配信を開始するオーケストラが増えてきましたが、視聴チケットを有料にするか、無料にしてスパチャ機能を導入するか、思案のしどころでしょう。

オンライン梯子を終え、0秒で帰宅。今日一日をブログに纏め、あとは風呂に入って寝ることにします。明日はロンドンとアムステルダムで梯子、かな。

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