さすがのルチア

メット・ライブ・ビューイング、今シーズン7本目はドニゼッティの歌劇「ランメルモールのルチア」です。今週はいろいろあって、今日見てきました。
ルチア/アンナ・ネトレプコ
エドガルド/ピョートル・べチャーラ
エンリーコ/マリゥーシュ・クヴィエチェン
ライモンド/イルダール・アブドラザコフ
指揮/マルコ・アルミリアート
演出/メアリー・ジマーマン
その他は省略しておきます。
何と言ってもネトレプコのルチアが目玉ですが、さすがに魅せました。本来はエドガルドに人気の一角、ロランド・ヴィリャソンが予定されていましたが、どうやら風邪をこじらせたようで、急遽べチャーラに交替というアクシデントがあったようです。
ところがヴィリャソンには悪いけれど、これが「吉」と出ました。私の好みから言えば、この公演の大当たりはべチャーラでしょう。
今回のルチアは4回公演だったようですが、ネトレプコの相手は3人目だとか。べチャーラは前々日にオネーギンにも出ており、ロシア語にイタリア語にと大活躍です。
べチャーラはチューリッヒやパリの「後宮」、「魔笛」などでよく見ていましたから、改めて今回は実力を確認した次第。エドガルドの成功で一段と高い人気を得るでしょうね。
エンリーコのクヴィエチェンも素晴らしい声。3役が揃ったルチアは見応えがありました。
ジマーマン女史の演出も秀逸。スコットランドにまで取材に出掛けただけのことはあります。
スコットランドの空や木々のシルエット、実在の城内の一室や階段。リアリティーに富むものです。
スコットランドの名物である「幽霊」を巧みに使っているのが見事。冒頭のルチアのアリアで登場し、最後のエドガルドの自害の場にも出てきます。最後はルチアの亡霊、当然ながらネトレプコ白塗りの演技。幽霊を額縁に使ったアイデアは中々のものです。
いつもの通りインタヴューや楽屋裏映像もあります。今回はナタリー・デッセイがホステス。通常の紹介の他に、プラシド・ドミンゴのメット40年というミニ・ドキュメントもありますから、ドミンゴ・ファンは見逃さないように。
主役はロシア、敵役の男声二人は奇しくもポーランドというキャストもメットならでは。
コンサートマスターは中国人ですし、フォアシュピーラーもアジア系。アリアを伴奏するハープは恐らく日本人でしょう。字幕で○○マリコ、と読めましたが、未確認。
人気絶大のネトレプコ、男の子を出産してカムバックとのことでしたが、少し太目になって貫禄が増したようにも思えます。声も、“イェーい”などというお転婆も健在。
よくあるカットのない完全版のようですから、かなり長丁場になります。(3時間20分)

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