今日の1枚(67)

今日はひな祭りですね。カルメンの初演とかもありますけど、個人的には100年前の今日・・・。ま、これは止めておきます。
ベイヌムが一段落して何を聴こうか迷いましたが、折角ですから3月に聴くコンサートの予習も兼ねてあれこれ摘み食いしましょう。
そこでエルガーですが、エルガーと言えばボールトでしょうね。
①エルガー/「南国にて」序曲(アラッシオ)作品50
②エルガー/交響曲第1番変イ長調作品55
共にサー・エードリアン・ボールト指揮ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団の演奏。オリジナルはEMI録音ですが、ライセンス契約に拠ってテスタメントから復刻されたCD。SBT 1229 という品番です。
ブックレットには詳細な録音データが掲載されていて、
①1955年6月22・23日 ロンドンのキングスウェイ・ホール
②1949年9月26・27日 ロンドンのアビーロード・スタジオNo.1
①のプロデューサーは David Bicknell、エンジニアが Douglas Larter
②のプロデューサーは Lawrence Collingwood と David Bicknell、エンジニアが Anthony C. Griffith と Arthur Clarke というコンビです。
①が録音された1955年には既にステレオ方式を採用したレーベルもありますから、当録音はモノラル最後期の一つ。LP初出は ALP 1359 だそうで、56年6月発売です。
「南国にて」はエルガーのイタリア旅行記とも言える作品。副題のアラッシオ Alassio はエルガー一家が1903年から04年にかけての冬に滞在していたリヴィエラ地方の町の名前です。
イタリアの風土と歴史に触発されて書かれた傑作。ボールトはエルガー自身を訪ねてこの作品の譜読みを学んだ人ですから、解釈は文句の付けようがありません。
ボールトは後にステレオで再録音していますが、演奏は旧盤が上という評価が一般的だそうです。
中間部のヴィオラ・ソロ(何とも素晴らしいメロディー)を弾いているのは、LPOの首席ヴィオラ、ジョージ・アレキサンダー George Alexander 。
このCDは4箇所にトラック番号が付けられていて、1.冒頭、2.練習番号20、3.練習番号34、4.練習番号40。序曲の構成に合わせていますので、スコアを勉強するには極めて効果的です。
②は1949年録音ですから、当初はSPで出ていたもの。WERMでは DB 21024/9 の6枚12面でした。後にLP化した ALP 1052 がCD復刻に使用されています。
SPの繋ぎ箇所が全く判らないだけでなく、驚異的な高音質で録音されています。とても1949年収録とは思えません。
エルガーの第1交響曲の世界初録音は作曲者自身の指揮でしたが、ボールトの当録音は2番目の録音だと思われます。ボールト自身はこの曲を3回録音していますが、これが最初にして最も優れた演奏とされているもの。
この録音の時、ボールトは60才。気力・体力とも最高の状態だったと思われます。
第1交響曲の初演は1908年12月3日、ハンス・リヒター(献呈者)の指揮でマンチェスターで行われていますが、4日後にはロンドン初演が行われ、会場のクィーンズ・ホールには当時19歳のボールトも聴きに来ていた、ということがブックレットに書かれています。
(ブックレットはアンドリュー・アッシェンバッハ Andrew Achenbach 筆)
この盤にはコンサートマスターも明記されていて、デヴィッド・ワイズ David Wise 。
参照楽譜
①ノヴェロ(出版番号なし)
②ノヴェロ(出版番号なし)

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