ミンゲラ演出によるマダム・バタフライ

メット・ライブビューイング2008-2009の第8作はプッチーニの歌劇「蝶々夫人」、今日はこれを見てきました。いつもの川崎ラゾーナ内、109シネマズ川崎。
平日の11時開始ながら結構人が入るようになりました。チョッと遅めに行くと、“混雑しておりますので、端の席になりまぁ~す” なんて言われちゃう。原爆博士の時が懐かしく感じられるほど。
こんな内容です。
プッチーニ/歌劇「蝶々夫人」
 蝶々さん/パトリシア・ラセット
 スズキ/マリア・ジフチャック
 ピンカートン/マルチェッロ・ジョルダーニ
 シャープレス/ドゥウェイン・クロフト
 指揮/パトリック・サマーズ
 演出/アンソニー・ミンゲラ
正直なところチョッと気が進まない公演。この前見たグラインドボーンの「ジュリオ・チェーザレ」があまりにも素晴らしかったので、暫く映画版オペラは見たくないという気持ちでした。しかし今見ないと機会を失してしまいますので、さほど期待もせずに出掛けたわけ。
ところがどうして、やはり凄いな、さすがメットやなぁ、という感想。これもお奨めのプロダクションです。
当初の予定ではクリスティーナ・ガリャルド=ドマスがタイトルロールを歌うはずでしたが、体調を崩したのでしょうか、ラセットに交替。このことは何の紹介もありませんでしたから、総合プログラムを持っている人は訂正しておくこと。
録音録画ですから音楽的な内容には触れません。それでもスズキとシャープレスが実に存在感があって、蝶々さんの独り舞台になり勝ちなこの作品を引き締めていました。
最大の見所はミンゲラ演出でしょう。この人は「イングリッシュ・ペイシェント」という映画でアカデミー賞の監督賞を受賞した映画人。どうもメットは映画畑の人をオペラの演出に起用するのが好きらしく、これもその一つです。ピーター・ゲルプの趣味なのかアメリカ的発想なのか、はてまた世界的流行なのか。ま、エンタテインメントに徹している感じではあります。
そのミンゲラ、2008年の3月に亡くなったのだそうで、これは監督の追悼公演でもあったようです。2006年プレミエの再公演、イングリッシュ・ナショナル・オペラやリトアニア国立オペラとの共同制作。既に実際に見た方も多いでしょう。
最初は少し違和感がありました。小道具や家具などは一切使わず、障子を上手く移動させて進行します。
登場人物の衣裳も時代性とか様式を無視したもので、つい笑ってしまう場面もあるのですが、次第に舞台に魅せられていきますね。
子役を使わず、人形を使うのにも感心。チョッと見ると文楽を連想しますが、人形師たちが子役の気持ちに合わせて笑ったり、驚いたりするのが日本とは違う感覚。ブラインド・サミット・シアターというロンドンを本拠に活動しているグループが操作しています。
言葉は悪いけれど、“ヤバイぞ、この人形”。人形は子役だけでなく、3幕冒頭のオーケストラだけの場面では蝶々さんの人形も登場して踊り? を見せます。
西洋人が見ると東洋的に、東洋人が見ると西洋的に見えるという衣裳も見もの。デザインは中国のハン・フェン女史。
舞台裏インタヴューは毎度のフレミング姉さん。主役の3人に加え、ミンゲラ夫人で振り付けを担当したキャロリン・チョイ女史も登場します。この方も中国人。
生前のミンゲラ監督のインタヴューもあります。
ヤマドリ役も東洋系でしたが、最後の字幕でデヴィッド・ウォンと確認。韓国の方でしょうか。
あと3日間上映されますので、興味のある方は是非に。

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