2009クラシック馬のプロフィール(5)

2回に亘って今年のアイルランド・ギニー馬の血統を検討しようと思います。
先週行われた愛2000ギニーと愛1000ギニー、どちらもクールモア・スタッドの生産馬で、共にジョニー・ムルタ騎手が騎乗していたという共通点がありましたが、クラシック・ダブルを達成したのはもう一つ。共に父がデインヒル・ダンサー Danehill Dancer という共通項があったのですね。
先ずは愛2000ギニーの覇者、マスタークラフツマン Mastercraftsman を眺めてみましょう。ここでは母系を中心に論じます。
母スターライト・ドリームズ Starlight Dreams はとてもタフな馬で、16戦2勝、勝鞍は共に1マイルでのものです。
彼女は競り(セール)を三度経験。イヤリング・セールは2万ドル、2歳の競りで2万7千ドル、6歳の時には4万ドルで売却されました。
マスタークラフツマンは彼女の6番仔、勝馬としては3頭目、パターン・レースの勝馬としては2頭目になります。
もう1頭のパターン勝馬はマスタークラフツマンの二つ上、ジェニュイン・デヴォーション Genuine Devotion (父ロック・オブ・ジブラルタール)と言い、8戦5勝、チャーチル・ダウンズ競馬場のローカスト・グローヴ・ハンデ(1マイル、GⅢ)に勝っています。
マスタークラフツマンの2代母はレーヴズ・セレステ Reves Celeste 、8戦して1マイルの距離で3勝。
レーヴズ・セレステは、スターライト・ドリームズの他に5頭の勝馬を出していて、マタヒフ Matahif という馬が2歳時にゼットランド・ステークス(2歳馬のための2000メートル戦)に勝ちました。
レーヴズ・セレステの娘ラフィフ Rafif はタフで堅実なGⅠ馬プレッシング Pressing を産んでいます。
3代母トビラ・セレステ Tobira Celeste の産駒では、何と言ってもセレスティアル・ストーム Celestial Storm を挙げなければなりません。
セントレジャー、キングジョージ、チャンピオン・ステークスと長距離のGⅠに3勝した名馬ですね。
更にトビラ・セレステの娘サワーキブ Thawakib は自身もリブルスデール・ステークスに勝ったばかりか、産駒サクヒー Sakhee が凱旋門賞、ジャドモント・インターナショナルを制し、ダービーとブリーダーズクラシックで2着になりました。
その他トビラ・セレステの牝系からはロスマンス・インターナショナル(GⅠ)を制したリヴァー・メモリーズ River Memories も出ていますし、4代母へヴンリー・ボディー Heavenly Body からはGⅠ馬ブロード・ブラシュ Broad Brush が、5代母デンジャラス・デイム Dangerous Dame まで遡ればケンタッキー・オークスのヒドゥン・タレント Hidden Talent 、パリ大賞典(この頃は3000メートル)のエクセラー Exceller も出るという具合。
もう一代遡って6代母レディー・ケルズ Lady Kells は、桜花賞馬コーユーの3代母に当たることも追加しておきましょう。
ファミリー・テーブルの分類では21号族のa に属します。
以上見てきたとおり、マスタークラフツマンの牝系にはスタミナ血脈が滔々と流れていることが判ります。
父デインヒル・ダンサーは、競走馬としてはスプリンター、その種牡馬成績もスプリンターが多く出ているのも事実ですが、配合に拠っては長い距離を克服できることも証明されています。少なくともマスタークラフツマンに関しては1マイルは問題ないでしょう。
父デインヒル・ダンサーについては別途取り上げる予定です。

Pocket
LINEで送る

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください