ディミトリ・ミトロプーロス指揮ニューヨーク・フィル(6)

このカテゴリーは遅々として進みませんね。ま、緩々とやることにしましょう。
1948-1949年シーズンの後半です。
1948年11月4・5日 カーネギーホール
 ワーグナー/歌劇「ローエングリン」第1幕への前奏曲
 シューマン/チェロ協奏曲
 ペルペッサ/管弦楽のための前奏曲とフーガ
 ショーソン/交響曲
  指揮/ディミトリ・ミトロプーロス
  チェロ/レナード・ローズ
1948年11月6日 カーネギーホール
 ワーグナー/歌劇「ローエングリン」第1幕への前奏曲
 モーツァルト/ヴァイオリン協奏曲第3番ト長調 K216
 バルトーク/ヴァイオリンと管弦楽のためのラプソディー第2番
 ショーソン/交響曲
 ペルペッサ/管弦楽のための前奏曲とフーガ
  指揮/ディミトリ・ミトロプーロス
  ヴァイオリン/アイザック・スターン
1948年11月7日 カーネギーホール
 ワーグナー/歌劇「ローエングリン」第1幕への前奏曲
 ショーソン/交響曲
 バルトーク/ヴァイオリンと管弦楽のためのラプソディー第2番
 ラロ/スペイン交響曲
  指揮/ディミトリ・ミトロプーロス
  ヴァイオリン/アイザック・スターン
1948年11月11・12日 カーネギーホール
 メンデルスゾーン/序曲「ルイ・ブラス」
 プーランク/ハープシコード(ピアノ)と管弦楽のための「田園協奏曲」
 マーラー/交響曲第7番
  指揮/ディミトリ・ミトロプーロス
  ピアノ/フランシス・プーランク
1948年11月13日 ニュージャージー、マッカーター劇場
 メンデルスゾーン/序曲「ルイ・ブラス」
 ボロディン/交響曲第2番
 ブラームス/交響曲第1番
  指揮/ディミトリ・ミトロプーロス
1948年11月14日 カーネギーホール
 メンデルスゾーン/序曲「ルイ・ブラス」
 プーランク/ハープシコード(ピアノ)と管弦楽のための「田園協奏曲」
 チャイコフスキー/交響曲第5番
  指揮/ディミトリ・ミトロプーロス
  ピアノ/フランシス・プーランク
1948年11月16日 プラザ・ホテル
 ドヴォルザーク/スラヴ舞曲第1・3番 作品46-1,3
 グールド/フィルハーモニック・ワルツ
 グレトリー=モットル/歌劇「セファールとプロクリス」~ジーグ
 ラモー/タンバリン
 マスネー/歌劇「タイース」~アリア
 メンデルスゾーン/「真夏の夜の夢」~結婚行進曲
 ヨハン・シュトラウス/円舞曲「ウィーンの森の物語」
  指揮/ディミトリ・ミトロプーロス
1948年11月18・19日 カーネギーホール
 バッハ=ミトロプーロス/幻想曲とフーガ ト短調
 シューマン/ピアノ協奏曲
 ラートハウス/劇的幻影(アメリカ初演)
 メンデルスゾーン/交響曲第3番
  指揮/ディミトリ・ミトロプーロス
  ピアノ/アルトゥーロ・べネデッティ=ミケランジェリ
1948年11月20日 カーネギーホール(ヤング・ピープルズ・コンサート)
 モーツァルト/歌劇「魔笛」序曲
 ブリテン/青少年のための管弦楽入門
 Traditional/Didn’t My Lord Deliver Daneel ?
 ヴァレリウス/We Gather Together
 ベルリオーズ/「ファウストの劫罰」~鬼火のメヌエット
 ベルリオーズ/「ファウストの劫罰」~ラコッツィ行進曲
 チャイコフスキー/交響曲第4番~第3・4楽章
  指揮/ディミトリ・ミトロプーロス
  ナレーター/ジェームズ・ファセット
  合唱/ミッドウッド・ハイ・スクール合唱団
1948年11月21日 カーネギーホール
 メンデルスゾーン/序曲「フィンガルの洞窟」
 メンデルスゾーン/交響曲第3番
 サティ=ドビュッシー/2つのジムノペディ
 シューマン/ピアノ協奏曲
  指揮/ディミトリ・ミトロプーロス
  ピアノ/アルトゥーロ・べネデッティ=ミケランジェリ
1948年11月25・26日 カーネギーホール
 ワーグナー/楽劇「パルシファル」前奏曲
 シュナーベル/管弦楽のためのラプソディー
 プロコフィエフ/ヴァイオリン協奏曲第2番
 ブラームス/交響曲第2番
  指揮/ディミトリ・ミトロプーロス
  ヴァイオリン/ジノ・フランチェスカッティ
1948年11月28日 カーネギーホール
 ワーグナー/楽劇「パルシファル」前奏曲
 パガニーニ/ヴァイオリン協奏曲第1番二長調 作品6
 ブラームス/交響曲第2番
  指揮/ディミトリ・ミトロプーロス
  ヴァイオリン/ジノ・フランチェスカッティ
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11月4日のペルペッサはほとんど知られていない作曲家です。例えばオックスフォードの音楽辞典(第5版)にも項目がありません。
ペルペッサ Harilaos Perpessa (1907-1995) はライプチヒに生まれ、移住先のアメリカ、マサチューセッツ州のシャロンで死去したピアニスト兼作曲家。(ファーストネームは Charilaos と書く場合もあるようです)
ベルリンでシェーンベルクに就いて学んだ人で、1930年にギリシャに移住、アテネで活動していました。
腕を失くし(原因は判りませんが)たことでピアニストとしての道が断たれ、以後は作曲を専業としていた由。1948年のアメリカ旅行が切っ掛けで現地に移り住んだということですが、この演奏会で演奏された自作に立ち会うのが目的だったかも知れませんね。
ミトロプーロスとはギリシャ時代から親交があったであろうことが想像されます。
11月11日のプーランクは自作自演。もし録音が残っていれば、重要な歴史的資料になるでしょう。
11月18日のラートハウスも知られざる作曲家の一人。
Karol Rathaus (1895-1954) はウクライナのチェルノポリに生まれ、ニューヨークで没したポーランド系オーストリアの作曲家。シュレーカーの愛弟子です。
ナチ・ドイツが退廃音楽のレッテルを貼って上演禁止にしたためアメリカに移住。交響曲は3曲が残されているようです。
11月20日は珍しく「ヤング・ピープルズ・コンサート」を指揮したときのプログラム。このシリーズは、バーンスタインが音楽監督になるまではほとんどアシスタント・コンダクターの仕事で、音楽監督や主要な客演指揮者が振ることはありませんでした。
11月25日のシュナーベルは、もちろん有名なピアニストであるシュナーベル本人です。
Artur Schnabel (1882-1951) はリプニクに生まれ、スイスで没したピアニスト兼作曲家。1939年から1945年まではアメリカに住んでしましたが(1944年にアメリカ国籍取得)、晩年はスイスに戻っていました。
ピアニストとしては圧倒的にベートーヴェンとシューベルトに定評があり、ベートーヴェンのピアノ・ソナタを史上初めてレコード録音した功績が残されています。
ピアニストとして現代作品はほとんど演奏していませんが、作曲家としては意外にも無調の手法で作曲していました。
交響曲が3曲、弦楽四重奏曲は5曲あり、私もヘフリッヒ社から復刻された交響曲のスコアを立読みしたことがありますが、オッソロシク難しい音楽です。
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