ディミトリ・ミトロプーロス指揮ニューヨーク・フィル(10)

第109シーズンのディミトリ・ミトロプーロス指揮ニューヨーク・フィルのプログラムを取り上げます。
このシーズンのミトロプーロスの肩書きは「指揮者」。前シーズンまであったストコフスキーは外れています。
1950年10月12・13日 カーネギーホール
 バッハ=カセルラ/シャコンヌ
 ベートーヴェン/交響曲第4番
 プロコフィエフ/交響曲第5番
  指揮/ディミトリ・ミトロプーロス
1950年10月15日 カーネギーホール
 ベートーヴェン/序曲「レオノーレ」第2番
 ベートーヴェン/交響曲第1番
 プロコフィエフ/交響曲第5番
  指揮/ディミトリ・ミトロプーロス
1950年10月17日 ラトガース大学(ニュー・ジャージー州)
 ベートーヴェン/序曲「レオノーレ」第2番
 ベートーヴェン/交響曲第4番
 プロコフィエフ/交響曲第5番
  指揮/ディミトリ・ミトロプーロス
1950年10月19・20日 カーネギーホール
 ベルリオーズ/序曲「ローマの謝肉祭」
 ラロ/スペイン交響曲
 R.シュトラウス/交響詩「英雄の生涯」
  指揮/ディミトリ・ミトロプーロス
  ヴァイオリン/オッシー・レナルディ
1950年10月22日 カーネギーホール
 ベルリオーズ/序曲「ローマの謝肉祭」
 パガニーニ/ヴァイオリン協奏曲第1番ニ長調作品6
 R.シュトラウス/交響詩「英雄の生涯」
  指揮/ディミトリ・ミトロプーロス
  ヴァイオリン/オッシー・レナルディ
1950年10月26・27日 カーネギーホール
 ベートーヴェン/序曲「コリオラン」
 モーツァルト/ヴァイオリン協奏曲第7番ニ長調K271-a
 ペルペッサ/クリストゥス交響曲(世界初演)
 ラヴェル/ラ・ヴァルス
  指揮/ディミトリ・ミトロプーロス
  ヴァイオリン/ユーディ・メニューイン
1950年10月28・29日 カーネギーホール
 ベートーヴェン/序曲「コリオラン」
 ビゼー/交響曲
 ヴュータン/ヴァイオリン協奏曲第4番
 サン=サーンス/「死の舞踏」
 ラヴェル/ラ・ヴァルス
  指揮/ディミトリ・ミトロプーロス
  ヴァイオリン/ユーディ・メニューイン
1950年11月2・3・5日 カーネギーホール
 ウェーバー/歌劇「オイリアンテ」序曲
 ハイドン/協奏交響曲
 シェーンベルク/管弦楽のための変奏曲
 チャイコフスキー/ピアノ協奏曲第1番
  指揮/ディミトリ・ミトロプーロス
  ヴァイオリン/ジョン・コリリアーノ
  チェロ/レナード・ローズ
  オーボエ/ハロルド・ゴンバーグ
  ファゴット/ウィリアム・ポリージ
  ピアノ/アルド・チッコリーニ
1950年11月7日 ブッシュネル・メモリアル・オーディトリアム
 ウェーバー/歌劇「オイリアンテ」序曲
 ベートーヴェン/交響曲第4番
 ビゼー/交響曲
 ファリャ/バレエ「三角帽子」3つの舞曲
  指揮/ディミトリ・ミトロプーロス
1950年11月9・10日 カーネギーホール
 ゴールドマルク/序曲「シャクンタラ」
 ドヴォルザーク/チェロ協奏曲
 バビン/カプリッチョ(世界初演)
 シューマン/交響曲第2番
  指揮/ディミトリ・ミトロプーロス
  チェロ/エドムンド・クルツ
1950年11月12日 カーネギーホール
 ゴールドマルク/序曲「シャクンタラ」
 ベートーヴェン/交響曲第4番
 ドヴォルザーク/チェロ協奏曲
 ベルリオーズ/「ファウストの劫罰」~鬼火のメヌエット、ラコッツィ行進曲
  指揮/ディミトリ・ミトロプーロス
  チェロ/エドムンド・クルツ
1950年11月13日 カーネギーホール
 モーツァルト/歌劇「フィガロの結婚」序曲
 モーツァルト/ピアノと管弦楽のための演奏会用ロンドK382
 メンデルスゾーン/ピアノ協奏曲第1番
 シューマン/ピアノと管弦楽のための序奏とアレグロ
 R.シュトラウス/ブルレスケ
 ベルリオーズ/「ファウストの劫罰」3つの管弦楽曲
  指揮/ディミトリ・ミトロプーロス
  ピアノ/ルドルフ・ゼルキン
1950年11月16・17日 カーネギーホール
 ラヴェル/道化師の朝の唄
 ミヨー/演劇のための音楽「レ・コエフォール」
 ラヴェル/歌劇「スペインの時」
  指揮/ディミトリ・ミトロプーロス
  ナレーター/マドレーヌ・ミヨー
  ソプラノ/アイリーン・ファーレル、フランシス・グリーア
  コントラルト/エドヴィナ・ユースティス
  テノール/デイヴィッド・ロイド、ヨゼフ・モルディーノ
  バリトン/マック・ハレル、ラルフ・ハーバート
  合唱/ウェストミンスター合唱団(指揮/ジョン・フィンリー)
1950年11月19日 カーネギーホール
 ラヴェル/道化師の朝の唄
 ラヴェル/組曲「マ・メール・ロワイユ」
 ラヴェル/歌劇「スペインの時」
  指揮/ディミトリ・ミトロプーロス
  ソプラノ/フランシス・グリーア
  テノール/デイヴィッド・ロイド、ヨゼフ・モルディーノ
  バリトン/マック・ハレル、ラルフ・ハーバート
1950年11月23・24・26日 カーネギーホール
 ウェーバー/歌劇「幽霊の統治者」序曲
 バッハ/3台ピアノのための協奏曲ニ短調
 モーツァルト/2台ピアノのための協奏曲変ホ長調K365
 スウェインソン/短い交響曲(世界初演)
 ドビュッシー/海
  指揮/ディミトリ・ミトロプーロス
  ピアノ/ロベール・カサドシュ、ギャビー・カサドシュ、ジャン・カサドシュ
1950年11月25日 カーネギーホール
 ウェーバー/歌劇「幽霊の統治者」序曲
 モーツァルト/2台のピアノのための協奏曲変ホ長調
 スウェインソン/短い交響曲
 カサドシュ/2台のピアノのための協奏曲
 ドビュッシー/海
  指揮/ディミトリ・ミトロプーロス
  ピアノ/ロベール・カサドシュ、ギャビー・カサドシュ
1950年11月30日、12月1日 カーネギーホール
 ケルビーニ/歌劇「二日間」序曲
 モーツァルト/アダージョとロンドK261、373
 グラズノフ/ヴァイオリン協奏曲
 トムソン/交響曲第2番
 ラヴェル/スペイン狂詩曲
  指揮/ディミトリ・ミトロプーロス
  ヴァイオリン/ナタン・ミルシテイン
1950年12月2日 カーネギーホール
 ケルビーニ/歌劇「二日間」序曲
 グリーグ/ピアノ協奏曲
 ペルペッサ/クリストゥス交響曲
 ラヴェル/スペイン狂詩曲
  指揮/ディミトリ・ミトロプーロス
  ピアノ/リチャード・ファレル
1950年12月3日 カーネギーホール
 ケルビーニ/歌劇「二日間」序曲
 モーツァルト/アダージョとロンドK261、373
 グラズノフ/ヴァイオリン協奏曲
 ペルペッサ/クリストゥス交響曲
 ラヴェル/スペイン狂詩曲
  指揮/ディミトリ・ミトロプーロス
  ヴァイオリン/ナタン・ミルシテイン
          **********
シーズン前半に世界初演作品が3曲も含まれているのが意欲的ですね。
即ち、10月26日のペルペッサ、11月9日のバビン、11月23日のスウェインソンです。
ペルペッサについては既に紹介済み。
バビン Victor Babin (1908-1972) はモスクワで生まれ、クリーヴランドに没したピアニスト、作曲家。1937年にアメリカに移住していました。夫人(ヴィーチャ・ヴロンスキー)とのデュオで有名だった人です。
スウェインソン Howars Swanson (1907-1978) はアトランタに生まれ、ニューヨークに没したアメリカの作曲家。短い交響曲は12分ほどの作品で、2管編成。ワイントラウブという出版社からスコアが出版されています。
11月13日は正にゼルキン・デイ。一晩に協奏作品4曲は凄い!
タイムマシーンがあれば聴きに行きたいのが11月16日。ミヨーの意欲作にラヴェルの一幕ものオペラの演奏会形式上演。
ミヨー作品は、アイスキュロスの劇作品をポール・クローデルが仏語訳したテキストに付けた音楽。語り手とソプラノ、バリトン、合唱を伴うものですが、その内の3つの楽章は語りの合唱と打楽器だけで演奏します。
この作品で語りを務めたマドレーヌ・ミヨーは、作曲家の夫人でしょうか?
歌手の役割の詳細は不明。
11月末から12月にかけて取り上げられたケルビーニの歌劇はベートーヴェンの「フィデリオ」の手本になったとされる作品で、仏語のタイトルが「二日間 Les deux journees」と言い、独語と英語では「水運び Der Wassertrager, The Water Carrier」として知られているものです。
昔は良く演奏されていましたが、現代のレパートリーからは完全に脱落してしまいました。
私も聴いたことがありません。
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