N響第1660回定期の放送

金曜日にBS2で放送されたN響11月定期Bプログラムです。11月25日にサントリーホールで収録されたもの。

ネルロ・サンティの指揮でオール・ベートーヴェン・プログラムで、曲目は①歌劇「フィデリオ」序曲 ②交響曲第4番 ③交響曲第6番「田園」。

サントリーホールの定期は9月もホグウッド指揮でオール・ベートーヴェンでしたし、10月はプレヴィンでオール・モーツァルト。そして今回と、曲目に関する限り全く斬新さは感じられない名曲路線です。

今回は、いつものサンティとは違った光景が見られました。
譜面台を置き、ポケット版ながらスコアが置かれています。AプロもCプロも暗譜で振っていたサンティには珍しいことですが、やはりレスピーギでの事故を考慮しての対処だったと思います。

頑固に暗譜主義に徹しないところに好感が持てますし、その素直さに惚れて忽ちサンティ・ファンになってしまいました。節操がないか・・・。

流石にオペラ指揮者で鳴らした人だけに①はスコアを置くだけで開けて見ることはありませんでしたが、②と③は丁寧にページを捲りながら振っていました。
私が使っているフィルハーモ二ア版のポケット・スコアと全く同じ個所でページを捲っていましたから、昔から普及していた旧版のスコアですね。テレビではハッキリしませんが、表紙の感じからするとブージー・アンド・ホークスのようにも見えます。間違ってもベーレンライター版などではありません。

①を終えて再度舞台に登場したマエストロ、オーケストラを着席させてそのまま②に入ります。慌てて5人の奏者(第2フルート、ホルン2本、トロンボーン2本)が退席する珍しい風景。

②と③に書かれている繰り返し記号は全て実行。オーケストラの編成もオリジナル通りですが、③だけはホルンを4人にして倍管で演奏していました。

田園交響曲の第2楽章では、終始チェロが1番プルトと他のメンバーに分かれて分奏する様子が判り、映像で観る楽しさを味わえます。スコアを見なくてもベートーヴェンの作曲技法が見える。こういう所はテレビの良さですね。

コンサート会場で配られているN響のシーズンチラシには、サンティが“新鮮なベートーヴェンで私たちを驚かせました” と書かれていましたが、新鮮さとは対極にある演奏だと思いました。
斬新な解釈は全く無い替り、安心して聴いていられる昔ながらのベートーヴェン。サンティの、というよりN響のドッシリした響きを楽しむ演奏でしょう。
個人的には、新校訂版による奇抜な演奏を聴かされるより、サンティの伝統的なスタイルの方が好みですね。

ただし気になるのは客席。矢鱈にブラヴォ~を張り上げる人がいて、マエストロが登場しただけで蛮声を浴びせかける。何も演奏していないのに歓声を上げるというのには薄気味悪さを感じてしまいました。
折角N響の演奏会に出かけようと思っても、こんな聴衆がいるのでは気持が萎えてしまいます。あれ、何とかなりませんかねぇ~。

 

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