コヴェントガーデンの「ヘンゼルとグレーテル」
先週末にBS2で放送されたものですが、なかなか時間が無くて漸く見たもの。リタイヤードなら時間などいくらもあると思われるでしょうが、意外に忙しいもので、オペラを2時間かけて見る時間は容易には作れません。
2008年12月12日と16日にロンドンのコヴェントガーデン歌劇場で行われた公演を歌劇場、BBC、NHKが共同制作したエディションです。
1年前のものですから再放送だと思われますが、私は初めて見ました。こんなキャストです。
ペーター(父親)/トーマス・アレン
ゲルトルート(母親)/エリザベス・コネル
ヘンゼル/アンゲリカ・キルヒシュラーガー
グレーテル/ディアナ・ダムラウ
魔女/アニア・シリヤ
眠りの精/プメザ・マチキザ
露の精/アニタ・ワトソン
合唱/ティフィン少年合唱団、ティフィン児童合唱団
管弦楽/コヴェントガーデン王立歌劇場管弦楽団
指揮/サー・コーリン・デーヴィス
美術/クリスティアン・フヌイヤ
衣裳/アゴスティーノ・カヴァルカ
照明/クリストフ・フォレ
演出/モーシュ・レゼール、パトリス・コーリエ
クリスマスに合わせ、家族で楽しめるように上演されるケースが多いオペラ。現地の原語に翻訳されることが多い作品ですが、この上演はイギリスながら完全なドイツ語による歌唱です。
第1幕は簡素な舞台で“予算がないのかな” と思っていると、魔女のキッチンは仕掛けが凝っていたりして、見ているうちに惹きつけられる舞台。以前に放送されたメトロポリタンの上演(演出/リチャード・ジョーンズ)ほどの圧倒的な迫力は無いものの、十分に楽しめる演出でした。
「ヘンゼルとグレーテル」は、何といっても「夢のパントマイム」でどんな夢の世界を創り出すかが最大の見どころでしょう。
今回のコヴェントガーデンは、天使になった森の動物たちが眠った二人の前に暖炉を引き出し、暖炉を囲む両親が二人にクリスマス・プレゼントを渡すという趣向。
ヘンゼルとグレーテルがプレゼントを開けると、中には一片のサンドウィッチが・・・。
メットでは魚の料理人たちが演出する豪華なレストランでしたが、英都はサンドウィッチ。お国柄というか経済情勢というか、コヴェントガーデンは庶民サイズのサプライズでしたね。
最後に登場する子供たちの歌と演技も生き生きしていて、学校オペラの雰囲気を残した好演出。
実力派揃いのキャスト。父親役のアレンは流石ですし、魔女のシリヤも息の長い歌手。バイロイトで彗星のようにデビューし、ヴィーラント・ワーグナーとアンドレ・クリュイタンスを手玉に取った頃から聴いているファンには実に懐かしい存在。存在感のある魔女も、よく見ればシリヤその人ですね、って当然か。
通常の上演と同様、前半は第1幕と第2幕を間奏曲で続けて演奏し、休憩の後の後半は第3幕。
カーテンコールも、演技の続きとして行われていたのが印象的。
一度見て直ぐ消去するつもりでしたが、もう一度ゆっくり楽しんでからにします。
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