ヒメオドリコソウ

前回のホトケノザに続いて、同属(Lamium ラミウム)のヒメオドリコソウに登場してもらいましょう。花の時期は同じ、チョッと見た感じも良く似ていますが、慣れてくれば見間違えることはありません。

葉の形は所謂ハート型で、ホトケノザとの違いは一目瞭然。それにホトケノザのように茎が長く伸びることもありません。

もう一つ、ヒメオドリコソウはホトケノザとは違って帰化植物であることも、知っておいて損はないことだと思います。
原産地はヨーロッパ、とだけ。最初に記録されたのは明治26年(1893年)の東京だそうです。日清戦争前夜ですね。
現在では東京都内の道端でも普通に見られるほどに雑草化しています。特に東京には多いのも特徴。

私のイメージでも、春先の花と言えばオオイヌノフグリとヒメオドリコソウが競うように咲いている野の光景を思い浮かべますが、どちらも明治期に侵入して来た帰化植物。江戸時代には無かった風景です。

そもそも帰化植物とは何かと言う定義もあるのですが、一般的には明治維新以後に侵入して来た植物を指すと考えてよいと思われます。
日本には古事記、日本書紀、万葉集など植物に関する古い文献があり、中国から入った漢方に関する知見も多かったことから、比較的早くから植物に関する学問が進んでいました。更に島国という条件も手伝って、帰化植物という概念も比較的シッカリと確立されているのでしょう。

ヒメオドリコソウという和名は、日本古来の踊り子草(オドリコソウ)が基になったもの。漢字なら姫踊子草ですが、名前も得をしているのではないでしょうか。
オドリコソウも都内で見たこともありますが、新参に比べれば遥かに肩身の狭い思いをしているような状態です。

学名は Lamium purpureum ラミウム・プルプレウム。種名は英語のパープル purple のことで、紅紫色の意味です。もちろんヒメオドリコソウの花の色。

 

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