33年4ヶ月ぶりの海外旅行(5)

前回の続き、イギリス最終日(8月18日)はバス旅行でした。ロンドン到着の翌日はエヴァンエヴァンス社のツアーでカンタベリー他を回りましたが、今回はマイバス社 My bus 社のツアーでコッツウォルズを回ります。
イギリスには観光バス会社がたくさんありますが、いわゆる大手と言われるのはエヴァンエヴァンス、マイバス、ゴールデンツアーズの3社だそうですね。後者2社は共催でツアーを組むことも多いそうです。

私共が参加した「バイブリーとコッツウォルズの小さな村巡り」ツアーは、日本語ガイド付き、出発はピカデリー・サーカスに近いロンドン三越正面から出発するとあって、参加者47名は全員が日本人でした。恐らく団体旅行のグループに我々個人ツアー客も流れ込んだ、という事でしょう。
個人的にはこういうツアーは苦手ですが、バスの中で大人しくしていようと決め込みました。
この日は雨、気温も低く、春からロンドンに留学しているという若い女性によれば、今までで一番寒い一日だとか。お蔭で家内は風をひいたようですが、暑がりの私にはパーフェクトな気候です。
前回のツアーとは逆で、運転手は英国人男性のマイク、ガイドは日本人女性の「タケダ」さんです。タケダさんは日本より英国生活の方が長く、話の合間に「OK」というのが口癖で、イギリス暮らしがすっかり身に付いている感じ。

さてロンドンから西に行き、少し北に上がったコッツウォルズ Cotswolds 。ガイドによれば、Wold とはイングランドの高原地帯のこと。Cot は、羊を入れる囲いとのこと。羊は臆病な動物で、この地方特有の冬の強風が吹くと羊はパニックになります。それを防ぐために、この地方特産の石(確かライムストーンと言ってました)を積んで風除けの囲いにしたものをコッツ Cot と呼ぶ由。
即ち、コッツウォルズとは、コッツの点在する丘という意味で、この名前の町があるわけではありません。小さな村々が点在する地方の名前で、今回のツアーではその内の3か所を回ります。
そもそもこの地方に人気が出たのはアメリカ人観光客が注目したからだそうで、日本でも白川郷が人気になったように、昔の佇まいを残す景観が現代では観光の対象になります。特に女性には大人気。

最初に行ったのはバイブリー Bibury 。「英国で最も美しい村」とウィリアム・モリスが賞賛したとは、どんなガイドにも書いてあるそうですが、ナショナル・トラストが管理している小さな村。どこをとっても絵になる風景で、如何にも女性が喜びそうな景観です。
ゴチャゴチャ言うよりこちらを↓

http://www.the-cotswolds.org/top/japanese/know/villages/bibury/index.html

続いてテットベリー Tetbury に。ここで昼食が供されます。
ここも詳しいことが知りたければネットを検索してもらうことにして、一般的には近くにチャールズ皇太子の住まいがあることで有名。テットベリーは、バイブリーやこの後に訪れるカッスルクームに比べれば遥かに大きい街で、皇太子の農場で作られたビスケットやチーズなどを売っている店(ハイグローヴ Highgrove)もあります。皇太子の紋章である3本の鳥の羽のマークを探せばよろしい。

そのハイグローヴの隣にあるホテル、クローズ Close が昼食の場所。2コースのランチを事前にバスの中で選ぶ仕掛け。
最初2コースとか3コースの意味が判りませんでしたが、要するに前菜とメインの2種類を頂くのが2コース、更に一品多いのが3コースですね。もちろん他にドリンクを頼み、サブ・ディッシュ(お摘まみでしょうか)や食後のケーキとコーヒーはお好み次第。
私は「小海老のカクテル」と「ビーフの煮込み」を頼みましたが、これは実に美味かった。家内も同じ前菜と「魚貝のラザニア」を摂っていましたが、これも絶品だったそうな。不味いという先入観があった英国料理で、これほどの逸品は感動的ですらありました。
クローズは雰囲気も最高、ホテルですからもちろん泊まれますし、レストランだけを楽しむも良し。ここはお勧めです。

ホテルでテットベリーの案内パンフレットを見ていると、「テットベリー音楽祭」があることを発見。今年は10月6日から9日までの4日間開催される予定です。
この音楽祭は有名なチェリスト、スティーヴン・イッサーリスが芸術監督を務めるもので、チャールズ皇太子がパトロン。ポール・ルイスのピアノによるシューベルトの回、エリアス弦楽四重奏によるマチネー、バッハのカンタータの夕べに混じってイッサーリスのリサイタルも行われます。
最終日は、今年100周年を迎えるテットベリー教会のオルガンを使ってトーマス・ルイス・デ・ヴィクトリアの合唱曲が演奏されます。

イッサーリスはいつか来日した時、普段は田舎で農作業をしていると言っていましたが、恐らくテットベリーの近くに農場を持っているのでしょう。

イギリスの小さな田舎町で古風な美しいホテルに泊まり、最高の英国料理を味わいながらヒッソリと行われる音楽会を楽しむのは、最高の贅沢と言えるのではないでしょうか。ヒョッとすると皇太子殿下もお忍びで来られるかも・・・。

最後に向かったのは、3か所の中で最も鄙びたカッスルクーム Castle Combe 。ここは観光バスが入れないので、バスを近くの駐車場に止め、10分ほど徒歩で移動します。教会と、市場が開ける広場以外は民家が数件点在する佇まいで、意識的に電線やアンテナなどの近代設備は一切排しているとか。
道路は舗装してありますが、ここに土を敷き詰めれば中世そのものの景観が現出します。実際、映画のロケでもよく使われるそうで、ガイドによればクリスティーのエルキュール・ポアロ・シリーズでも使われているとか。帰国してからチェックしてみると、「アクロイド殺人事件」でポアロが引退した田舎町という設定でカッスルクームが使われていました。
この他、未公開の映画「War Horse」という作品でもここがロケに使われた、とガイドが解説していました。封切られたら映画館に足を運ぶのも一興。

以上、バイブリーは傘を差しての観光でしたが、テットベリーとキャッスルクームは傘の出番なし。それでもロンドンへの帰路はかなり雨脚が強くなっていましたし、予定通り三越前に帰着したロンドンも雨でした。

翌日は朝9時ヒースロー発のBA機で羽田に向かいます。出発のときのように遅れて他の便に回されては敵いませんから、朝一番でホテルを発つことに。
受付で前夜にチェックアウトしたい旨相談すると、当ホテルは24時間対応ですから早朝のチェックアウトでOKとのこと。ヒースロー行きのピカデリー・ラインは、午前5時48分グリーン・パーク発の始発がヒースローのターミナル5行きであることを調べてくれました。
念のため朝5時にモーニング・コールを入れてくれるというサービスで、その夜は荷造りを済ませ、早々と就寝。

帰路は何事もなく、20日の朝5時、無事に羽田に帰ってきました。

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