神奈川フィル・第276回定期演奏会

昨日は飛び入りで神奈川フィルの定期を聴いてきました。直前まで出掛ける予定にはしていませんでしたが、家内がどうしても行きたい、というので急遽参戦したもの。
近頃では私以上に広上ファンになってしまった家内は「ドヴォ8おたく」でもあって、“広上のドヴォ8があるのに、どうして行かないのヨ” というキツイお叱り。「どうして」という個所に極めて強いアクセントが付いてました。
どうも学生時代にフルートを吹いていて、この曲も散々練習して来たみたい。DNAの一部に刷り込まれているのでしょうね。ましてや以前に広上/日本フィルでも聴いていますから、それが忘れられないという・・・。

ブラームス/ハイドンの主題による変奏曲
チャイコフスキー/ヴァイオリン協奏曲
     ~休憩~
ドヴォルザーク/交響曲第8番
 指揮/広上淳一
 ヴァイオリン/三浦文彰
 ゲスト・コンサートマスター/長原幸太

申し訳ないけれど、最近は神奈川フィルから脚が遠のいています。正直に言えば、現在の常任指揮者が私の好みじゃない所為で、オーケストラ自体に不満があるわけじゃありません。
ということで、感想はチョびっとにしておきます。

こうして改めて広上を聴くと、改めて凄い指揮者だと思いますね。この日の3曲は聴くのも恥ずかしい位の名曲揃いですが、これらが何故「名曲」と言われているのかに納得させられます。
さり気ないブラームスにしても、見通しの極めて良い、随所に音楽が溢れ出てくる名演。

チャイコフスキーも圧巻。
ソロの三浦は、震災直後に行われた仙台フィル支援の復興コンサートでメンデルスゾーンの第1楽章を聴いて感心した若手。今回初めて協奏曲の全曲演奏に触れましたが、テクニックも音楽性も抜群の新星であることを確認しました。

プロフィールをメモのために書き写しておくと、2009年にハノーファー国際コンクールで史上最年少の16歳で優勝。東京都出身で3歳からヴァイオリンを始め、先生は徳永二男氏。(徳永氏は上記復興コンサートにも出演していましたから、師弟競演だったんですね、知らなかった)
現在はウィーンに留学中とのことで、パヴェル・ヴェルニコフの下で研鑽を積んでいる由。ウィーンではテクニックの修練と言うより、音楽を更に大きくすることが目的なのでしょう。

拙ブログの演奏会記録集でも、既に今年は下野/群響とのサン=サーンス、金/OEKとのメンデルスゾーンでの共演が確認できました。音楽界地獄耳に聞いたところでは、東フィルのコンサートマスター・三浦章宏氏の御子息なのだそうで、要するにサラブレッドですね。

ソロももちろん素晴らしいのですが、バックも実に見事でした。そつなく纏めるというレヴェルを遥かに超え、特に両端楽章のコーダはソロとオケが共にヒートアップして音楽をクライマックスに導く姿は感動モノです。

コンマスに合図してアンコール。確認してきませんでしたが、あれはパガニーニの Nel cor piu の変奏曲でしょう。左手のピチカートを駆使した超絶技巧に、客席もオケのプレイヤーも唖然。ゲスト・コンマスの長原幸太もヤンヤの大拍手を捧げていました。
その長原幸太、先週は読響でもゲスト・コンマスを務めていました。確か大阪フィルを率いていたと記憶しますが、武者修行に出て、東京にリクルート旋風を起こすのか?

メインのドヴォルザーク、家内も大満足の「ドヴォ8」でした。マエストロは舞台に出る前に何か大声で叫んでいましたが、あの一言でメンバーもリラックス。音楽に更なる温か味が増したようです。広上淳一は人心掌握術の名手でもあります。
今回の演奏にしても、楽章を追う毎に表現に濃密さが加わり、それでいて作品全体の構造が手に取るように明らかにされて行く。指揮者は自分では音を出しませんが、演奏を組み立てていくには欠かせない存在。彼ほどこの事実に気付かせてくれるマエストロは今や稀有な存在ではないでしょうか。二日前に聴いた指揮者とは、かなりのレヴェル差があります。

思いがけず、久し振りの神奈川フィルを楽しんだ一夜でした。

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